この私が切り込み隊長となって馬主、調教師、騎手に話を伺う『キャプテン渡辺のウィナーズサークル』。
今回は、今年調教師になられた稲垣幸雄調教師、加藤士津八調教師にお越しいただきお話をうかがいました。
競馬の道を歩むきっかけ
キャプテン渡辺(以下、渡辺):新人調教師の方は昨年につづき2回目の登場となります。ざっくばらんにお話を伺えたらと思いますので、よろしくお願いします。
稲垣幸雄 調教師(以下、稲垣)・加藤士津八 調教師(以下、加藤):よろしくお願いします。
渡辺:まずはお二方が競馬に興味を持ち、この仕事に携わろうと思ったきっかけから教えていただけますか?
稲垣:ボクは中学生のときでしたね。当時オグリキャップブームで、アイネスフウジンのダービーやオグリキャップの有馬記念があり、そのころから競馬を観るようになりました。
渡辺:競馬ブームの一番ピークだった時代ですね。東京競馬場に20万人の観衆が詰めかけましたものね。
稲垣:それまで競馬は赤ペンを持ったおじさんが競馬場に集まるギャンブルのイメージでしたが、あの盛り上がりを観て競馬はただのギャンブルではないと思い始めました。
渡辺:なるほど。
稲垣:それから毎週末、競馬中継を観るようになり、競馬に関する知識を集めたくて競馬関連の本を読み漁り、競馬業界がどういうところかを知っていくうちに、調教師やトレセンの存在を知って、それからですね。漠然と馬の仕事をしてみたいという気持ちを持つようになったのは。
渡辺:騎手になりたいとは思わなかったのですか?
稲垣:中学のときには今と同じくらいの背丈でしたし、体重も含めて騎手は考える余地がない職種でしたね。
渡辺:そうだったんですね。
稲垣:最初はいろんな職業がある中のひとつでしたが、高校生のときに進路に悩んで、どの大学に行くか真剣に悩んだときに将来馬に携わる仕事に就こうと決意して、それで動物学が学べて、馬術部がある大学に行きました。
渡辺:ご両親や親戚に競馬関係者がいたわけではないのですよね。
稲垣:身内に競馬関係者は誰もいないです。
渡辺:加藤調教師は、お父さんがジョッキーですよね。
加藤:はい。
渡辺:騎手になりたいと思われたのはいつ頃ですか?
加藤:記憶している限りでは幼稚園の頃ですね。ずっと父親と同じ仕事をしたいと思ってましたし、そう思いながら体重も管理して生活してました。
渡辺:騎手って花形じゃないですか。その騎手から調教師の道へ進むときに、諦めは簡単につきましたか?
加藤:騎手もやって調教師もやりたいと思っていたので、その時期が早くなっただけですね。切り替えは早かったです。調教師やろうと思ったら、すぐに騎手を辞めて助手になって下積みしていこうと思っていたので、引退した瞬間から調教師になるための勉強も始めてました。
調教師試験って
どんな問題がでるの?
渡辺:調教師になるために実際どういう勉強をするんですか? 調教師の試験問題って全然イメージが沸かないです。
稲垣:調教師になるための勉強にも分野があって、法規、馬学といって馬の生態だったり生物学的なところを学んだり、馬に乗る馬術であったり。主にその3つの分野を教科書をベースに学んで、あとは競走馬診療所が行う勉強会に出席していろんな知識を付け足していく感じですね。
渡辺:血統も試験に出るのですか?
加藤:昔の血統とかテストに出ますね。
渡辺:へぇ。
稲垣:それこそ馬の進化からですね。サラブレッドの三大始祖や系統なども出ます。
加藤:たとえばこの馬のお父さん、お母さんは誰とか。
稲垣:二次試験だともう少し具体的になって、実際に厩舎内で起こりそうなトラブルなどの対処法を問われますね。
渡辺:たとえば、馬房内で餌の中からタバコの吸殻が見つかった場合にどうするのか、とかなどの問題もあると聞いたことがあります。
加藤:過去に起きた出来事なども踏まえて、質問される感じですね。
渡辺:1+1=2みたいに単純明快な答えがしにくいから、回答する方もキツイですね。
加藤:答えに窮する内容もありますよ。