この私が切り込み隊長となって馬主、調教師、騎手に話を伺う『キャプテン渡辺のウィナーズサークル』。
今回のゲストは、フィエールマンで菊花賞を制した手塚調教師にお越しいただきました。中央G1はこれで4勝目。まずはレースを振り返っていただきました。
菊花賞を振り返って
キャプテン渡辺(以下、渡辺):今回は菊花賞をフィエールマンで優勝された手塚調教師にお越しいただきました。
手塚貴久 調教師(以下、手塚):よろしくお願いします。
渡辺:まずは菊花賞を振り返っていきたいのですが、今回はレースを観ながらということで、動画を再生しますね。
手塚:はい。
渡辺:菊花賞は7月のラジオNIKKEI賞からのぶっつけだったじゃないですか。レース前の自信はいかがだったのですか?
手塚:休養明けでレース間隔もだいぶ空いていたし、距離もそれまで1800mを3回走っただけでしたからね。不安といえば不安でしたが、能力的には足りているなという気持ちはありました。
渡辺:まずはスタートです。
手塚:うまくポンと出てくれましたね。過去ずっと出遅れてましたからね。1週前に調教でゲート練習したとき普通に出てくれたので、これまでよりはちゃんと出るかなと思ってましたが、スタートで出遅れなかったのはいい点でした。
渡辺:スタートがうまくいったことで、逆に道中の位置取りは想定されていたのとは違いましたか?
手塚:そうですね。もうちょっと後ろかなと思いました。最初の坂の下りで少し行きたがった雰囲気があったんですけどすぐに収まったので、これだったら折り合って進められるかなと思いましたね。
渡辺:道中「これはいけるかも」と期待してましたか?
手塚:レース中にあまりそういうことは考えないので、勝つかどうかはゴールしてみないとわからないですよね。
渡辺:ペースも1000m通過が1分2秒7と遅かったです。
手塚:スローになったことがフィエールマンには味方しましたね。
渡辺:改めてみると、道中の手応えは抜群ですね。
手塚:ペースが遅いと他の馬も総じて手応えはいいんですよ。そんな中で有力馬と同じ位置につけていたので、あとは最後の直線でどう力勝負で走り切ってくれるかなと思いながら見てました。
渡辺:最後の直線です。手塚調教師もかなり声が出たのではないですか?
手塚:武騎手が少しインコースに入るんですよね。それで追い出すタイミングが少し遅れたんですけど、それが逆によかったのかもしれないですね。追い出しが遅れたので届かないかなと思ったんですが、最後は差し切ってくれてよかったです。
渡辺:見事な勝利でした。
手塚:上りタイムは早いんですけど、ヨーイドンのレースになったので体力の消耗度では前回のラジオNIKKEI賞のときよりは少なかったですね。
フィエールマンへの期待
渡辺:改めてレースを見ると、強い勝ち方ですよね。それなのにボクは馬券買ってなく、なぜノーマークにしてしまったんだろうと反省してます(笑)。
手塚:単勝で15倍近くつきましたので、けっこういい馬券のではないですか(笑)。
渡辺:菊花賞の勝利は、鞍上の好プレーもありますよね。
手塚:それは間違いなくありますね。2週前から追い切りをしてもらって、能力があることは確認してもらえてましたし、過去3走のレースをビデオで観てどういう馬かというイメージもつかめていたようでしたので、テン乗りでもうまく乗りこなしてくれましたね。
渡辺:騎手に指示は出されたりするのですか?
手塚:レース前に作戦A、Bのプランを話してました。想定外の展開となって、実際はそのとおりにはならなかったですが(笑)。
渡辺:来年も活躍が期待できそうですね。
手塚:2400、2500mあたりがベストだとは思うので、そのあたりの距離に合わせていったら楽しみが広がると思いますね。今年4走しかしてないですし、G1、G1と押せ押せのローテーションでいくよりは、少し間を空けてステップを挟んでというのがいいのかなと思います。来年はさらにフィエールマンにとって大勝負の年だと思います。
渡辺:アルフレード、アユサン、アジアエクスプレス、そしてフィエールマンと、これで中央のG1は4勝目です。当たり前ですけどG1勝つと嬉しいものですか?
手塚:もちろんすごい嬉しいですよ(笑)。
渡辺:G1を勝ったあとは、特別にスタッフの皆さんと大騒ぎされるのですか?
手塚:大騒ぎはしてないですね(笑)。初めてG1を勝ったときは何かお祝いごとしなきゃいけないと思ってたりしましたが、いまはしみじみと嬉しさを噛みしめるのがいいかなと思いまして。
渡辺:そうなんですか(笑)。
手塚:菊花賞を勝った次の日は、北海道の牧場に行きましたし。個人的には喜びはうちに秘めて感じる、みたいな感じでいます(笑)。