第1回目のゲストは中山馬主協会・西川賢会長とサトノダイヤモンドで昨年末の有馬記念を制覇された里見治オーナーにお越しいただき、お話を伺いました!
まぁへっぴり腰だけども
本気でみたいな(里見)
キャプテン渡辺(以下、渡辺):昨年末、サトノダイヤモンドで菊花賞と有馬記念、サトノクラウンで香港ヴァーズ、サトノアレスで朝日杯フューチュリティステークス。破竹の勢いで立て続けにG1連勝。本当に凄いのひと言です!
里見治オーナー(以下、里見):しびれましたね。有馬記念を勝ってくれれば4歳古馬になってから希望が持てると思いながら観戦していました。最後は際どくなったためヒヤッとしましたが、差し切れて良かったです。今までで一番ドキドキし、身震いするような気持ちでした。一緒に観戦していた周りの皆様も喜んでくれて、本当に嬉しかったです。
西川賢 中山馬主協会会長(以下、西川):有馬記念優勝のサトノダイヤモンドもさることながら、香港でのサトノクラウンは相手がハイランドリールでしょ。凱旋門賞2着にキングジョージ、ブリーダーズカップターフを勝っているまさに世界ナンバーワンの馬を負かしたのですから。サトノクラウンも種馬としても期待が出てきましたね。
里見:クラウンには、いつかG1獲ってもらいたいとずっと思っていたんです。血統的にも100%ヨーロッパ系統ですからね。日本で種牡馬になれればどんな馬にもつけられますし。
渡辺:父マルジュだから、サンデーサイレンス系の種付けOKですしね。
里見:正直言ってね。サトノクラウンの天皇賞(秋)はなさけない走りでした。こんな馬じゃないという思いはあった。
渡辺:ちなみに、お二人はどういうきっかけでお知り合いになられたのですか?
里見:弟の西川哲クンじゃないかな?
西川:たしか哲が里見オーナーに『馬はどうでしょう』と勧めた。
里見:その前から馬は持っていたけど、たまにしか買ってなくてね。競馬場にもほとんど来たことがなかった。哲に『会長!本格的に馬をやる気ありますか?』と言われてね。いままで中途半端だったから、少し芯を入れてやろうかなと思ったのがきっかけ。
西川:社台に足を運んで、そこからですよね、高い馬をバンバン買って。
里見:最初、哲クンから藤澤和雄さんを紹介してもらったんだよね。そこから、まぁへっぴり腰だけども本気でみたいな。
渡辺:そんなそんな(笑)
西川:いえいえ、本気。へっぴり腰では菊花賞に有馬記念、香港ヴァーズはとれませんよ(笑)
里見:本当に馬に本腰を入れ始めたのは6、7年前くらいですね。池江泰郎先生がアドバイザーに入ったあたり。池江先生が最初にこれはいいと言ってくださったのがサトノノブレスなんです。
渡辺:そうなんですね。
外国馬がたくさん出走できれば
有馬記念も必然的に盛り上がる(西川)
西川:今度の有馬記念は今まで見てきた有馬記念とは違って主役でしたね。
渡辺:有馬記念は里見オーナーにとって特別なものですか?
里見:やっぱりグランプリですからね。古馬のレースとしては最高峰のレースですし。
渡辺:ボクは凱旋門賞よりも有馬記念だろうと思ってるんです。凱旋門賞に出たことで有馬記念を回避するのは不満。最強馬決定戦は有馬なので、強い馬は有馬記念に出てきてほしい。
西川:売上も世界一ですしね。海外のG1を買えるようになったでしょ。逆に外国でも有馬記念を買えるようにしたらいいんですよ。それと外国馬の出走枠も広げてもらいたい。
里見:それにはね、一番の問題は検疫だと思ってるんですよ。ここをね、改革してもらって外国馬が日本に来やすいようにすべきだね。
渡辺:いま外国馬にとって日本に来づらい環境になってますよね。
西川:ほんと、そう。
里見:理事長含めてね、ここをもっと積極的に変えてしていかないとね。せっかく日本の競馬も国際的になり日本にも来てほしいと言っているのに、結局1週間も検疫していたら馬の状態も落ちてしまう。日本は遠いんだし、来日するだけでも大変なこと。そこでまた検疫でしょ。長い間拘束するのはね…。ほかの国はもっと短い期間で行っているのに。日本だけがね。以前の法律のままずっとね。正直言ってよくないと思う。
渡辺:検疫の期間を短縮することは可能なんですか?
西川:それは考え方ひとつ。たとえばジャパンカップがあるじゃないですか。その1ヶ月半後に有馬記念がある。その間、馬が滞在できる場所があればまた違いますよね。外国馬がたくさん出走できれば有馬記念も必然的に盛り上がる。
渡辺:なるほど!
西川:ジャパンカップが前哨戦で、有馬記念が最終決戦というね。そういう形もとれますし。外国馬も2ヶ月間あればということで家族も含めて日本に滞在できる場があればね。
里見:そのアイデアはいいね。
西川:施設自体は日本にある。たとえば三木ホースランドパークとかね。三木ホースランドパークには、海外から馬が来たときのために、厩務員や馬や関係者が寝泊まりできる施設がある。馬の場合は1週間馬房に入れておかないといけないのが馬にはきついけど、そこの馬房は結構広くて馬が馬房をグルグル回れる。パーク内にも関係者が滞在できる場所もある。三木ホースランドパークはなぜそういう施設になっているかというと、乗馬大会で世界から馬が来るでしょ。それでそういう施設にした。ジャパンカップが終わったあとの滞在場所として、活用するとかね。
里見:馬がずっと馬房にいるのもきついから、日本の他の厩舎にも馬をおけたりね。
西川:外厩もありますし。
渡辺:いまはジャパンカップも名ばかりになってたりしますものね。
里見:馬が滞在しやすい環境があれば、ジャパンカップから有馬にもかなりいい馬が参戦してきますよ。本当の意味での国際競走にもなる。
渡辺:そうなればレースももっと盛り上がりますね!
里見:アイデアは素晴らしいので、これは理事長の後藤さんに働きかけないと(笑)
渡辺:お二人の力だと、その改革ができそうだから怖いです(笑)
1周2400mくらいの
トラックがあったらいい(里見)
西川:ただね、これは難しい。中山は有馬記念があるからでしょ、東京馬主協会さんはダービーがあるからでしょ、となってしまうんです。関西にも菊花賞、天皇賞があるけど、札幌や函館、小倉などのローカルには大きなレースはないわけですよ。そうすると、こういった改革の話をしてもあまり賛成が出てこない。ボクが有馬記念の話をしてもみんな振り向かない。そんなの当たり前だろうという風にも見られることがある。
渡辺:なるほど。
西川:そうでなくてね。有馬記念は別だよと考えて、たとえば中山競馬場でなくてお台場に競馬場を作ってお台場で国際競馬としてやるでもいい。中山競馬場は近隣に住宅もありこれ以上、競馬場を大きくできないわけでしょ。
里見:本当は1周2400mくらいのトラックがあったらいいよね。
渡辺:有馬記念はまぐれがあるコースじゃないですか。世界一を決めるのであれば、まぐれのないコースがいいですものね。
西川:コーナーを5つも6つもまわる日本一のレースはここしかないですから。その駆け引きが面白いといえばそうですが、馬にとっては公平じゃない。本当の実力決着かというとそうじゃないときもあり、ジョッキーにうまくやられちゃったという場合もあるわけじゃないですか。
渡辺:そこが有馬記念のよさだったりもしますよね(笑)
西川:そうなんだけどね(笑)。それがあるから馬券を買う人もいろいろ推理して、強い馬がどう相手を負かすかという楽しみもあるけどね。でもまぐれのないコースで実力ナンバーワンを決めたいんだったらお台場競馬場で有馬記念をやればいい。カジノ法案も通ったわけですしね。
里見:(笑)