第1回目のゲストは中山馬主協会・西川賢会長と里見治オーナー。今回は馬主になられたきっかけなどをお聞きしました。
サトノダイヤモンドを買われたのは
どんな理由だったんですか?(渡辺)
渡辺:サトノダイヤモンドを買われたのはどんな理由だったんですか?
里見:これはね、オーラがずば抜けていた。当歳の下見を1回してね。どうしても気になるんでもう一度行った。やっぱりこの年の当歳の中では絶対これだと感じた。この馬だけは手に入れたいというね。
渡辺:当歳で馬を見るのって難しいじゃないですか。その中でもサトノダイヤモンドは違ったんですか?
里見:違った。どこがと説明するのは難しいんだけど。1歳の夏に預け先のノーザンの空港でね、50mくらい先の馬房からダイヤモンドが出てきたときに、パッとね。これはダイヤモンドだとすぐに思った。
渡辺:へぇー。
西川:不思議ですね。
里見:オーラというかね。
西川:額の流星もいい。奥様が『これはダイヤモンドだね』ともおっしゃった。セールで里見オーナーがこれは目をつけているなというのがわかるほど意欲を感じましたよ。
里見:(笑)
以前セリで里見オーナーとたまたま
ぶつかったことがありましたね(西川)
西川:そういえば、以前セリで里見オーナーとたまたまぶつかったことがありましたね。
里見:あったね(笑)
西川:あのとき8,000万円くらいまでいっちゃった。『オーナーすいません、これボクも競っているんでよろしくお願いいたします…』と里見オーナーにこっそり言って競るの止めてもらって。
渡辺:ハハハハ(笑)
西川:そうしたら他の人もガンガンに競ってきて、結局1億5,000万円くらいまでいってしまった(笑)
渡辺:里見オーナークラスでも1億超えると少しは焦ったりしますか?
里見:それはね、多少はね(笑)
西川:長年やってますから、いい馬を選んでもこれはだいたいこれくらいは出せるけど、それ以上はやめようというのはあると思う。
里見:それはあるね。この馬はここまではしょうがないかな、それ以上は無理だなっというのはありますね。ただ2016年のセールは相手が悪かった(苦笑)
西川:島川さんですか(笑)
里見:ダイヤモンドの下を下見した時、あまりよくなかったからやめようかと思ったけど、競り場に出てきた時すごくよくなっていた。ダイヤモンドの下だからね。ついつい。
西川:愛着がありますしね。
「社長が馬を持っていないなんて…」と
煽ってね(里見)
渡辺:ご自身の馬以外で有馬記念で思い出のレースってありますか?
里見:ありますよ。一番最近はダイワスカーレット。大城さんの馬だし、乗っているのは親しいアンカツだし。一生懸命応援した。
渡辺:まだ馬主をやっていないときはどうですか?
里見:遠い縁続きでね。牝馬で有馬を勝った馬、なんだっけかな?
渡辺:トウメイ?
里見:そう、トウメイ。馬主の近藤さんと遠い縁続きでね。まだ当時は競馬をやってなかったけど、有馬を出るっていうんで応援した記憶がある。
西川:トウメイは強かったです。
渡辺:まだ私、生まれてない(笑)
西川:50年くらい前かな。あのレースは馬場が悪くてね。
渡辺:里見オーナーはそのころ、自分が馬主になると思っていましたか?
里見:まったくない(笑)自分の生活で精一杯でしたよ。
渡辺:里見オーナーが最初に馬を持たれたのは?
里見:いまから25年前かね。ミラクルサミーという馬。そこそこ走った。2連勝だか3連勝くらいして。掲示板だけでも20回以上のった。ちょろちょろ稼いで準オープンまでいってね。それで総額でいえば1億以上稼いだ。はっきりいって血統的には三流。父はサイエンソロンでね。
西川:サイエンソロンですか。私はサイエンソロンの現役時代を見てましたよ。古馬になってから良くなった馬でしたね。
渡辺:三流血統でもこれだけ走ったわけですよね。
里見:半分ビギナーズラックみたいなもの(笑)私の会社の役員で馬好きがいてね。『社長が馬を持っていないなんて』と煽ってね。当時パチンコ屋さんが馬をけっこう持っていた時代だった。私もそんなに馬は嫌いじゃなかったですし。お前に任せるから1頭買っておけといってね(笑)
馬を持つきっかけは、
それこそ千差万別(西川)
西川:馬を持つきっかけというのはね、それこそ千差万別でね。私の場合、親父がタレントを育て興行をしていた。タレントというのは人間ですから、稼げば稼ぐほどギャラもアップしてくる。その点、馬は飼葉料くらいで人参を食べさせたら喜んでいるわけじゃないですか(笑)
里見:そうだね(笑)
西川:親父はタレントを連れて北海道に巡業に行くでしょ。興行を打って。お金儲けして。そのまま牧場へ行って馬を買う。庭先ですから(笑)
渡辺:自分の馬がレースを走るのは、どんなお気持ちですか?
西川:レースに勝った負けたもあるけれど、自分の子供が運動会を走っているような気持ちですかね。
里見:まさにそう。純粋に趣味の延長線上でね。自分の馬が目の前で勝った喜びが格別。もちろんG1を勝ったときにはそれ以上の喜びはあるけれど、未勝利馬が勝ってもその喜びはそんなに違わないよ。
西川:私も何十年も馬主をやってきているけど、未勝利だろうが特別だろうが、重賞だろうが、スタートするときのドキドキ感はいっしょなんですよ。なんとか頼むぞという気持ちと、無事走ってくれよという気持ちになる。
渡辺:そのドキドキ感が馬主を長く続ける秘訣でもありそうですね。
里見:そうだね。それとやっぱりだんだん欲がでますよね。最初は未勝利を勝っただけでも嬉しい。次に特別レースを勝って表彰台でカップをもらってね。そうするとやっぱり少しでも上のところで勝ちたいなという思いが出てくる。
渡辺:サトノダイヤモンドでG1を勝ったと思ったら、サトノクラウンにサトノアレスとつづけてG1勝利。
里見:私もびっくりでしたよ(笑)