ゲスト チャクイウ・ホー騎手
01. 香港競馬、恐るべし
フランス、イギリス、アイルランド、アメリカ…と、世界を渡り歩き、技術を磨いてきたホー騎手とは、一体、どんなジョッキーなのか!? 性格は? 競馬への考え方は? 日本の印象は? そのすべてに、キャプテン渡辺が鋭く迫る!!
香港には馬産がない
ーーWelcome to Japan! 初めての日本はどんな印象ですか?
C.ホーみなさんに、そう声をかけていただくことが多いのですが、小さかった頃、一度、両親と一緒に日本を旅したことがありまして。しかも母が、日本人向けのマーケットで仕事をしていたので、日本は子どもの頃から、近いところにありました。
ーーそう、なんですね!? じゃあ、日本語も?
C.ホーそれほど多くは知りませんが…ハシとチャワンは、わかります(笑)。
ーーすごい! ということは、日本食もOK?
C.ホー日本の食べ物は何を食べても美味しいですけど…一番は、やっぱり、お寿司ですね。とにかくお寿司が美味しい!! 街は綺麗だし、みなさん、礼儀正しいし、日本という国はすごくいい国だと思います。
ーー日本と香港の競馬はどうでしょう。香港のメイントラックであるシャティン競馬場が右回りだというのは知っていますが、そのほかにも、ありますか?
C.ホー香港と日本の競馬で、一番の大きな違いは、日本には、馬を生産する立派な牧場があり、環境が整い、施設があり、育てるプロフェッショナルがいるということです。香港にはそういうシステムがないので、競走馬はすべて海外の生産馬…出走馬は、牡馬が多く、牝馬がほとんどいないのも、そのためです。
ーーレース展開なども違いますか?
C.ホー日本の競馬は、ゲートを出た瞬間から、もう、スイッチがオンになるという印象で、ペース自体が速い、どのレースも常に早いという感じです。
香港はその逆で、前に行きたがるジョッキーがいないので、6割? 7割? くらいが、スローペースになります。
最初はそれに戸惑いました(苦笑)。
ーーほかにも、あったら教えてください。
C.ホー日本の競馬場は、子どもでも入場することができます。たくさん遊具があって、遊びながら、同時に馬の走る姿を見ることができるというのは、すごくいいことだと思います。
ーーなるほど。では、馬主さんはどうでしょう? 日本と香港では違いますか?
C.ホー勝負事なので、勝ち、負けにシビアなのは同じだと思います。ただ、日本の馬主さんは、それ以上に馬に愛情を持っていて、香港の馬主さんは、レースの結果により興味を抱いている人の方が多いように感じます。
香港競馬、恐るべし
ーーということは、ファンの気質も当然、違う?
C.ホー日本のファンは、馬、レース、馬券…すべてをひっくるめて、楽しんでいる方が多いのではないでしょうか。そんな感じを受けました。
香港では、例えば、シャティン競馬場は、ファンの人も、よりレースに特化している人が多いし、ハッピーバレーは、毎週水曜にナイター競馬が開かれていることもあって、パーティーを楽しみながら競馬にも興じる…というムードが強いような気がします。
どれがいいというのではなく、それぞれが、それぞれの方法で、競馬を楽しんでもらえることが一番です。
ーー僕が一番興味のあるのは馬券ですが、香港の馬券は?
C.ホー単勝、複勝、馬連、馬単、ワイド、3連単、3連複、ここまでは日本と同じです。
ーーほかにも…ある?
C.ホーFirst4と呼ばれる4連単。Quarterと呼ばれる4連複もあります。もっと、知りたいですか?
ーーはい! ぜひ!!
C.ホー指定された組み合わせのグループから、1着の馬がどのグループから出るかを予想する3 Pick 1、国際競走における馬の所属地によるグループで構成されるWINNING REGION、調教師によるグループで構成されるWINNING TRAINERのCOMPISITE WINというのもあります。
まだ、知りたいですか?
ーーえ〜〜〜〜〜っ!? まだ、あるの? いや、これ以上聞いても、覚えられそうにないので、今日はこのくらいで勘弁してください。
それにしても…香港競馬、恐るべし…ですね(苦笑)。
C.ホー香港では、馬番号とゲート番号が違いますから、それも要注意ですよ。
ーーまさかや…でした。日本の競馬と香港の競馬で、これほどの違いがあるとは思ってもいませんでした(苦笑)。
来日直後のホー騎手が、やや戸惑い気味に見えたのもわかるような気がします。
C.ホーそれぞれ国によって、違いは必ずあります。問題は、いかに早く順応できるかだと思っています。
ーーそんな中、来日して最初の勝利(7月30日・新潟12R・3歳以上1勝クラス)は、身元引受調教師である安田隆行厩舎のカゼノタニノアヤカでした。
C.ホー日本に来て、すぐに勝つことができたのは、安田先生をはじめとする厩舎のみなさんのおかげです。
日本での記念すべき最初の勝利は、これからもずっと僕の記憶に残る素敵な出来事でした。
ーーそして、重賞初勝利が、レパードステークス(8月7日・新潟)。昨年、香港のシャティン競馬場で行われたクイーンエリザベス2世Cで、GⅠのビッグタイトルを共に手にしたラヴズオンリーユーと同じ、矢作芳人厩舎のカフジオクタゴンです。
C.ホー最後の叩き合いは、すごくエキサイティングで、僕自身、ワクワクしながら乗っていました。
結果、クビ差で勝てたのは、馬を最高の状態に仕上げてくれた矢作厩舎のみなさんのおかげです。初勝利は、安田厩舎の馬で、初重賞が矢作厩舎の馬…2人の先生には、感謝しかありません。
(構成:工藤 晋)
チャクイウ・ホー Chak Yiu Ho:1990年5月25日 香港生まれ
16歳で香港ジョッキークラブの競馬学校に入学。香港2009/2010年シーズンにデビュー。2019年に、世界のトップジョッキーがその腕を競うシャーガーカップに世界選抜として参加。香港2019/2000年シーズンに、香港クラシックマイル、香港クラシックカップ、香港ダービーの香港4歳クラシックシリーズを完全制覇。2020年に、サザンレジェンドでGⅠ香港チャンピオンズマイルを勝つなど大きく飛躍を遂げ、2021年には日本から挑戦したラヴズオンリーユーに騎乗し、クイーンエリザベス2世Cを制している。
キャプテン渡辺:1975年10月生まれ。お笑い芸人。競馬、競輪、パチンコ、パチスロは趣味の域を超えていまや生活の一部に。特技は関節技。現在テレビ東京系列で放送中の『ウイニング競馬』にレギュラー出演中。YouTubeで競馬予想更新中。