この私が切り込み隊長となって馬主、調教師、騎手に話を伺う『キャプテン渡辺のウィナーズサークル』。
今回は、2019年4月にウインブライトでクイーンエリザベス2世カップを制覇した松岡正海騎手にお越しいただきました。
大きいレースを勝つと
騎乗依頼は増えますか?
海外G1レース初制覇した松岡騎手
キャプテン渡辺(以下、渡辺):ウイニング競馬では何度もインタビューしてますが、今回は中山馬主協会サイトでのインタビューなんですよ。よろしくお願いします。
松岡正海騎手(以下、松岡):昨日もボクのところに来ましたよね(笑)。
渡辺:そんないつも美浦にいるみたいな言い方しないでくださいよ(笑)。それは冗談として、まずは2019年上半期を振り返りたいんですけど、ウインブライトで海外G1制覇がありましたね。
松岡:なんとかウインブライトでG1を勝ちたいと思っていたので、勝てて嬉しいのと、あと一番はホッとしたという気持ちが強いですね。
渡辺:デビュー戦、ひとつ挟んで2歳未勝利戦からズッと跨ってますものね。それに以前からこの馬は強いともおっしゃってました。
松岡:2歳のときから潜在能力を買ってました。でも肉体の成長が遅かったからね。ウインブライトに対しては、ヤキモキしたりもどかしい気持ちがありましたよ。
渡辺:香港でG1勝ったことで、強い馬だということが証明できました。
松岡:そうですね。
渡辺:海外G1を勝ったことで、松岡騎手の状況も変わったりしましたか?
松岡:何の状況ですか?
渡辺:たとえば他の馬にも乗ってくれよとか、騎乗依頼が増えたりとか。
松岡:ないですよ、ないない(笑)。
渡辺:他人事ですけど浜中俊騎手がダービー取ったじゃないですか。同じように大きいレースを勝つと、騎乗依頼が増えそうですけど?
松岡:今の時代、それはあまりないんじゃないですか。誰も乗る騎手がいなくて、じゃぁ松岡でってなったときに「いいよ」と言う人は増えても、先に松岡でいこうという人はそんなに増えてないと思いますよ。松岡と言われて、NGという人が少なくなったくらいですよ。
渡辺:そうなんですか。
松岡:そういうもんですね。
騎手を選んだきっかけは雄平?
渡辺:中山馬主協会のサイト初登場ですし、松岡騎手がジョッキーを目指すきっかけを教えてもらえますか?
松岡:小学生のときから自分の中ではサラリーマンになるという選択肢はなかったですね。自分の腕一本で稼げる商売につきたいと思ってました。
渡辺:ずいぶん早いときから大人びてますね(笑)。
松岡:競馬を初めて見たのが、あまり覚えてないけど小学校低学年のときだったかな。当時は野球もしていたんで、将来なるとしたら野球選手かジョッキーかなって思ってました。
渡辺:ボクも中学まで野球やってたんですよ。ポジションはどこですか?
松岡:ショートです。
渡辺:出身はどちらですか?
松岡:川崎です。周りには選抜選手の枠に入るような選手がゴロゴロいる環境でしたね。
渡辺:レベル高そう。
松岡:中学生のときは1年生から試合に出てたら、ボクもそれなりに上手かったとは思いますけど。
渡辺:それほどの実力があったら、甲子園は目指さなかったんですか?
松岡:弟は東北高校で甲子園行ってますよ。ダルビッシュ有と同じ歳で、予選のときはダルビッシュの球を受けてましたから。
渡辺:なんと!
松岡:ボクも区の大会を勝ち上がって県大会に出て、川崎球場での試合に出たけど物凄く球が速いピッチャーがいたんですよ。バットにボールがまったく当たらない(笑)。で、あとから聞いたら、のちにプロ野球選手になった高井雄平だったんですね、その選手が。
渡辺:ヤクルトの雄平と対決していたんですか(笑)。
松岡:こういう人がプロに行くんだなって思いましたね。それで野球選手はちょっとキツイなと思った(笑)。
松岡騎手に聞くキャプテン渡辺のここだけの話
- Q.G1勝つのと甲子園でスタメンに入るのは、どちらが大変ですか?
- A.甲子園でスタメンに入る方が大変です。(松岡騎手)
渡辺:選手の人口比率は野球の方が多いから、その分、競争も激しいですし。
松岡:それもあるけど、競馬は調教師や厩務員がいたり、騎手がいたり、いろんな人がそれぞれの仕事をして馬が走りますからね。それに騎手の実力が劣っていても、馬が速く走れば勝てますし。
渡辺:野球だと純粋に個人の実力が問われますものね。
松岡:いくら営業したところで、打てないとスタメンに入れないですし、その上で甲子園だと予選も勝ち上がらないといけない。そういったいろんな総合面を踏まえると甲子園でスタメンに入る方が凄いと思いますよ。