【第3回】馬は我慢、我慢の連続
お笑い芸人のキャプテン渡辺です。趣味は競馬にパチスロ、麻雀とギャンブル毎日三昧。土曜テレビ東京系列で放送中の『ウイニング競馬』にも出演中!
この私が切り込み隊長となって馬主、調教師、騎手に話を伺う『キャプテン渡辺のウィナーズサークル』。

松岡騎手にお越しいただいてのインタビュー3回目。「馬って1に我慢、2に我慢、3、4がなくて5に我慢」と松岡騎手。その理由とは...。

今の自分に足りないもの

「毎週毎週追い込まれ続けて余裕がない感じですよ」と松岡騎手

渡辺:自分の中でまだまだ磨ききれてない技術ってありますか?

松岡:なんだろう...。これまで学びたいと思った技術は学んできたので、何が足りないかと言われてもすぐには浮かんでこないです。

渡辺:でも騎手として、今の自分がパーフェクトではないですよね。

松岡:それはもちろんそうですね。

渡辺:技術以外も含めて、ジョッキーとして足りないところがあるとしたらどこですか?

松岡:だとしたら体調管理ですかね。荒れてますからね(笑)。

渡辺:そうなんですか。

松岡:睡眠時間も短いですし。食事は摂っても1日一回とか、ご飯食べるのが面倒で柿の種だけ食べて寝るとかありますし。

渡辺:寝る時間を削って何をしているんですか?

松岡:今週走らせる馬のことが中心ですね。追い切りはどうだろうとか、状態やレースのことを絶えず考えてます。競馬が好きなんで、車乗ってても頭には絶えず競馬のことが巡っているし、競馬のことを考える時間でいっぱいですね。キャプテンでいったらお笑いのことをずっと考えているようなものかな。どうやったらウケ受けるだろうかとか。

渡辺:なるほど(笑)。

松岡:3歳馬がまともに走ってきたなと思ったら、新馬戦が始まるでしょ。今週走る馬のこともあるし、どういう風にしたら速く走るだろうとか、毎週毎週追い込まれ続けて余裕がない感じですよ。

渡辺:加えてご自身のトレーニングする時間もありますものね。

松岡:トレーニングに関しては、若手は熱心にトレーニングしているけどボクはアプローチが違うって思うんですよね。まずかっこよく乗れるように思うことが大事。自分の目指すフォームで乗っていると疲れる部分が出てきて、そこを鍛えればよいわけで。

渡辺:たしかに。

松岡:全体の能力を底上げしようとして鍛えても、無駄な力がついちゃうし、体も大きくなるから。競馬は自分の理想とするフォームで不自由なく乗れる体勢をつくれば馬をコントロールできるんで、体を鍛えればいいというスポーツとは違う。トレーニングに時間を割きすぎるなら、馬のことを考える方が大事ですよ。朝早起きして、さらに昼間もトレーニングして、さらに馬のことも考えないといけないとなると、疲弊しちゃいますから。

馬は我慢、我慢の連続

「馬は1に我慢、2に我慢、3、4がなくて5に我慢」(松岡)

渡辺:ファン目線でいくと、レース中、おい動けよ!って思う場面があるのですが、あのときって騎手側からするとどういう状況で馬に騎乗されているんですか?

松岡:場面場面によるけど、ただ闇雲に追えばいいというわけではないですからね。馬のその先のことも考えて乗っているので。

渡辺:外から観ていると、そのあたりがわからないんですよ。

松岡:たとえばウインブライトのダービーだと、スローペースだったじゃないですか。レイデオロが先に上がっていって、ボクも先に上がっていこうと思ったんですけど、ここで動いたらこの馬の今後の活躍に影を落とすかもしれないと思うと、仕掛けも少し遅れて、そういう反省は多々ありますね。

渡辺:ファンと騎手との間で、そのあたりのギャップってありますよね。

松岡:そこが競馬の難しいところですよね。あらかじめ調教やレースでその馬の個性をある程度掴んで、その個性と展開とペースが噛み合えばたいがい勝てるけど、個性を重視しすぎてペースを無視しちゃったとか、その逆にペースを重視してその馬の個性が活かせなかったり。ちょうどいいところを探っていく、毎回その作業の繰り返しですね。

渡辺:レースは勝敗だけじゃなくて、教育という面もあるのですね。

松岡:人間といっしょで、馬によって個性があって、3回やってようやく覚える馬もいれば、一生かかっても覚えられない馬もいるし、1度だけで覚える馬もいる。こっちはいつもこれが正解だろうと思って走らせるけど、ウインブライトだっていまでこそ高いレートになったけど、二桁着順のころもありましたから。

渡辺:馬の個性って、すぐに掴めるものですか?

松岡:能力を完全に把握できるまで時間がかかるときもありますよ。馬の個性や能力をいち早く掴んで、この馬の旬はいつか、どれくらいのクラスまでいけるかを見極めるのも、調教師と同じく騎手の仕事だと思っているし、そういうジョッキーでありたいと思ってますね。

渡辺:なるほど。

松岡:馬に合わせないで進めちゃうケースもあるんですよ。6月から新馬戦始まるからってすぐに厩舎に入れて走らせようとするとか。でも、体ができてない馬を無理に使うと馬も疲れるし、よけい疲労して成長も止まる。その間に他の馬はよくなっていって、一番伸び盛りの時期を棒にふって取り残されちゃうと、誰も得しないですよね。

渡辺:ですね。

松岡:数ヶ月まてば1000万クラスまで行けたのにということもあるし、能力を見極めてその馬のクラスを目指していかないとろくなことがないですから。馬って1に我慢、2に我慢、3、4がなくて5に我慢なんですよ。そういう風に考えてもらいたい。


松岡騎手に聞くキャプテン渡辺のここだけの話

Q.レースによって内枠、外枠有利ってありますか?
A.あるかもしれないけど、馬によりますね。(松岡騎手)

渡辺:中山ダート1200mや東京ダート1600mは外枠有利って言われてますけど。

松岡:揉まれ弱い馬だったら外がいいですし、揉まれても大丈夫なら内がいいですし、馬によりますね。

渡辺:単純に内と外でいったら、どっちがいいですか?

松岡:それは内側の方がいいですよ。外だとポジション取れなくて、外回らされちゃうし。

渡辺:逃げたらすごい馬でも、番手に控えて大丈夫な馬とそうじゃない馬がいますよね。あの差は何ですか?

松岡:馬が前にいると気を遣うんじゃないですか? 逃げてるとき手綱をふわっと持っていた方が、スライドを伸ばせてロスなくいける馬もいるし、ガソリンの使い方が下手な馬だと抑えないといけなし。馬の気分でうまくいく、いかないはありますね。


以下、次回につづきます

松岡正海:1984年7月生まれ。騎手。競馬学校第19期生。2003年デビュー。同年3月に初勝利。2006年にアイルランドのジョン・オックス厩舎のもとで約3か月間の武者修行に。2007年ヴィクトリアマイルを12番人気コイウタで優勝、2009年天皇賞(春)をマイネルキッツ(12番人気)で制覇。2019年ウインブライトでクイーンエリザベス2世カップを勝ち海外G1レース初制覇。
キャプテン渡辺:1975年10月生まれ。お笑い芸人。競馬、競輪、パチンコ、パチスロは趣味の域を超えていまや生活の一部に。特技は関節技。2015年度の船橋競馬場のイメージキャラクターを務める。現在テレビ東京系列で放送中の『ウイニング競馬』にレギュラー出演中。
※この記事は 2019年7月26日 に公開されました。

×