ゲスト ミカエル・ミシェル騎手
01. 餃子とラーメンが食べたいです(笑)
5月半ば、かねてからの念願だったアメリカ競馬に参戦。ケンタッキー州ルイヴィルを拠点としてチャーチルダウンズ競馬場などで活躍するミシェル騎手のいまを、キャプテン渡辺が聞き出した。
アメリカの競馬
ミシェルオハヨウゴザイマス!
ーーおーっ! いきなり、日本語ですね。
ミシェル日本語はとても難しいんですけど…でも、勉強は続けています。もう一度、日本で乗りたい! その夢は変わらないし、諦めてもいません。いつか、日本のジョッキーになりたいという気持ちはずっと変わっていません。
ーー今は、アメリカ…ですよね?
ミシェルはい、そうです。ケンタッキー州に住み始めて1ヵ月半くらいですけど、ここの暮らしはとても気に入っています。朝5時過ぎに起きて、調教をこなして。レースへの騎乗依頼もいただけるようになり、結果もついてきているので満足していますし、充実しています。
ーーフランスとアメリカでは、競馬のスタイルも当然、違いますよね?
ミシェルそうですね。言葉も違うし、競馬もヨーロッパとアメリカでは違います。でも、アメリカの人たちは、みなさん、すごくやさしくて。お互いに助け合って頑張ろうという精神があるので、すごく助かっていますし、そういうところが大好きです。
ーー食事はどうですか?
ミシェル食べ物は美味しいですよ。ただ…。
ーーただ?
ミシェル長い間、ラーメンと餃子を食べていないので、辛めの美味しいラーメンと餃子が食べたいです(笑)。
夢は…世界制覇!?
ーーミシェル騎手といえば、欧州はもちろん、日本、ドバイ、そして今回のアメリカ…と世界で活躍しているイメージがありますが。
ミシェルそう言っていただけるのは嬉しいです。元々、旅をするのが大好きで。ジョッキーを目指した理由のひとつに、“世界中の競馬場を回ってみたい”というのもあったので、それが実現できていることに幸せを感じています。
ーー夢は世界の競馬場制覇?
ミシェルそれができたら最高ですね。武豊騎手や、クリストフ・ルメール騎手のように、世界中、どこの競馬場でも勝てる騎手になりたいです!
ーーそのために必要なことはたくさんあると思いますが、ひとつ挙げてくださいとお願いしたら?
ミシェルたくさんありすぎて困ってしまいますが(苦笑)。そうですね、ひとつ挙げるとすれば…経験でしょうか。
ーー経験……ですか。
ミシェルそうです。例えば、日本でダート競馬を経験させていただき、技術的なことも含めて、いろんなことを学びました。今それが、アメリカの競馬で生きている――。ジョッキーのいいところは、そういう経験をたくさん積めることで、そういった経験値を日々、少しずつでもいいので増やしていけたらと思っています。
ーーダート競馬の話が出ましたが、それ以外に、日本の競馬についてはどんな印象を持っていますか?
ミシェル日本の競馬はどんどんそのレベルが上がっていると思います。私が最後に日本で乗せていただいてからもう2年経ちますが、その間も、ドバイやアメリカで結果を残しているように、馬も、ジョッキーも、そのパーフォマンスが上がっていると感じています。
ーー他にも…ありますか?
ミシェルアメリカに来て気付いたのですが、日本とアメリカは、馬に対する接し方がすごくやさしい。ヨーロッパの方が、馬と人との文化が古い分だけ、距離感も近いのですが、細やかな気遣いは、日本やアメリカの方があると思いました。
ーーそれは、意外です。ヨーロッパの方が、圧倒的に上だと思っていました。
ミシェル違うかもしれませんが、ヨーロッパは馬に対しては友達のような感覚で、日本やアメリカは、家族…子どものような感覚なのかなと思います。だから、たくさんの愛情を注ぐし、たえず馬に触れては、わずかな体調の変化も見逃さない…そんなふうに思います。
(構成:工藤 晋)
ミカエル・ミシェル Mickaelle Miche:1995年7月15日フランス生まれ。14年にフランスで騎手免許を取得。落馬負傷により約1年半もの間、戦線離脱を余儀なくされたものの、見事に復活。18年には、72勝をマークし、フランスの女性騎手最多記録を大きく更新するなど、自らの手で世界への扉をこじ開けた。19年8月、札幌競馬場で行われたWASJ出場のため初来日。地方帰競馬の短期免許を取得し30勝をマーク。22年5月から活動拠点をアメリカ・ケンタッキー州に移した。
キャプテン渡辺:1975年10月生まれ。お笑い芸人。競馬、競輪、パチンコ、パチスロは趣味の域を超えていまや生活の一部に。特技は関節技。現在テレビ東京系列で放送中の『ウイニング競馬』にレギュラー出演中。YouTubeで競馬予想更新中。