今回のゲストは、タイトルホルダーで菊花賞を制覇された山田弘オーナーにお越しいただきました。本サイト登場は、2017年以来2度目となります。第1回目は、初のクラシックタイトルを手にした感想と舞台裏のエピソードを伺いました。
※ インタビューは、新型コロナウイルス感染予防のため三密を避け、ソーシャルディスタンスをとって行いました。
クラシック初制覇
キャプテン渡辺(以下、渡辺):今回はタイトルホルダーで菊花賞を優勝された山田弘オーナーにお越しいただきました。本サイトへの登場はサウンドトゥルーでの中央GⅠ初制覇以来、2回目になります。まずはクラシック初制覇おめでとうございます!
山田弘オーナー(以下、山田):ありがとうございます。嬉しいですねぇ。
渡辺:レース後の表彰式では西川会長とガッチリと肩を寄せ合い喜びを分かち合われていました。クラシック優勝となると他のG1とは違いますか?
山田:全然違う。こんなこと言っちゃぁサウンドトゥルーにはかわいそうだけども、同じG1でもレースの重みがこんなに違うとは思わなかった(笑)。
渡辺:それはどんなところが違いますか?
山田:たとえば次のローテーションのことにしても、気の早い話だけど秋に海外はどうですかって話だもん。そりゃそうだよね。もし行くとしたら預託先考えないといけないし、手配しなきゃいけないことも多いから急に言われても困りますよとなりますよ。これは私も全然思いもつかなかった。
渡辺:前哨戦の朝日杯セントライト記念が13着と大敗でした。本番に向けて不安になりませんでしたか?
山田:それはなかったですね。レースは秋初戦だったから栗田先生も厩務員さんもジョッキーも次を意識したんじゃないかな。直線で包まれて追えなかったし、武史くん(横山武史騎手)にしては丁寧に乗りすぎましたよね。人気なんて気にしないで、思い切っていきゃよかったのにって思いました。
渡辺:菊花賞では逆にスタートから前に行きましたね。
山田:セントライト記念のことがあったから、栗田先生に言いましたよ。「ジョッキーに言っておいてよ。今度は人気ないんだし、逃げてつぶされてもいいじゃない。責任は一切問わないからいってください」って。普段はジョッキーにお任せなんだけど、菊花賞のときは事前にそう言いました。
渡辺:となるとまさに作戦どおりの展開ですね。
山田:いや、逆にあの展開は焦りましたよ(笑)。内枠に津村くんの逃げ馬(ワールドリバイバル)がいたから、うちのは番手だと思ってたわけ。それがスタートしてすぐ武史くんが追って動いていくもん。「おいおいおい。3000mだぞ、いってほしいといったけど、そこまでやれとは言ってないだろ」って。あのときは思わず腰が浮いたね(笑)。
横山典弘騎手からの御礼
渡辺:どのあたりでこれは勝てると思いましたか?
山田:途中2000m通過のラップにしてはずいぶん遅いなと思ったけど、最初に手綱しごいているからボディーブローのように効いてくるんじゃないかなと。私はそんな感じでしたよ。
渡辺:先頭のまま直線に入ってきたときはいかがでしたか?
山田:4コーナーでも抑えたままだったから気取ってないでいけって思ったのは覚えているね。そのあとは一緒にいた応援団が周りで「勝った勝った」と四の五の言ってたけど耳に入らなかった(笑)。
渡辺:勝った瞬間は色々な思いが巡ったのではないですか?
山田:頭が真っ白になって、誘われないとすぐにウィナーズサークルに行く気にならないというか、そういうもんですよね。チャンピオンズカップのときもそうでしたよ。しばらく呆然と佇み、我に返るには5秒くらいかったかな。
渡辺:セイウンスカイ以来、23年ぶりの逃げ切り。しかも鞍上はセイウンスカイで逃げ切った横山典弘騎手の息子の武史騎手というドラマチックな菊花賞となりました。
山田:レース後に記者の方から「今日のレースどうでした?」って聞かれたから「典さんの逃げ切りよりも、武史くんの方がうまかったよ(笑)」なんて答えたの。そしたら後ろの典さんがいて、焦りました(笑)。「まさか典さんがこのオレに営業、なわけないよな」って思ってたら、典さんから「降ろさないで続けて乗せていただいてありがとうございました」って御礼を言われた。そんなことを言われると思ってなかったから、びっくりでしたね。お父さんもすごく喜ばれていましたよ。
騎手に聞くキャプテン渡辺のここだけの話
- Q.クラシックを制して気持ちの変化とか、周りも含めて変わったことはありますか?
- A.そこまで気持ちが変わったということはないですね(山田 弘オーナー)
渡辺:クラシック馬オーナーですから気持ちがドーンと大きくなったとかはないですか?
山田:それはないですよ。ただね、本来なら、お世話になった方、携わっていただいた方、応援していただいたをホテルに招いてパーティーをするんですけど、それができないのが残念でしたね。
渡辺:せっかくのクラシック制覇なのに、ですよね。
山田:そう。しばらく経って残念だなぁと思いますね。御礼は言わないといけないので、北海道の牧場や厩舎の皆さんへ御礼を言いに行ってきました。あとはしょうがないから記念品を一生懸命作ろうかと思ってデザインをあれこれ考えたりしてたら、仕事どころじゃなくなりましたよ(笑)。