ゲスト 石川 裕紀人 騎手

01. チャンピオンズCの勝因は、スタート。あの瞬間、これだったら、“勝ち負けになる”と思いました。

チャンピオンズCの勝因は、スタート。あの瞬間、これだったら、“勝ち負けになる”と思いました。
しゃべりも予想も絶好調! 『HERO IS COMING.』――会心の予想で、競馬ファンの心をときめかせるHERO、キャプテン渡辺が贈るWINNER’S CIRCLE。2023年、最初のゲストは…チャンピオンズカップのお立ち台で、“ブラボー!”と叫んだ快男児、石川裕紀人ジョッキーだ。

ゴール前は冷静でした

――寅年から卯年へ、年をまたいでの“おめでとう”になってしまいましたが…チャンピオンズカップの優勝、おめでとうございます!

石川ありがとうございます!! GIを勝つというのは、騎手になりたいと思っていた頃から夢見ていたことなので、素直に、嬉しいです。頑張ってくれたジュンライトボルトには、もう、感謝しかないです。

――GIジョッキーとして見上げたスタンドは、いつもとは違っていた?

石川そうですね。中京のスタンドは、見慣れているはずなんですけど、やっぱり、いつもとはどこかちょっと違って見えて。言葉にするのは難しいんですが…すべてのものが輝いていて、眩しい感じでした。

――あらためて、レースを振り返って欲しいんだけど。

石川思い出すたびに嬉しくなるので、もう、何度でも、振り返ります(笑)。

――だよね(笑)。まず、スタートなんだけど。3枠5番からポンと出たように見えたんだけど、乗っているジョッキーとしてはどうでした?

石川おっしゃる通りです。ゲートが開いた瞬間、最高のスタートができて。勝った一番の要因は、ジュンライトボルトの頑張りですが、その次がスタート。あのスタートを切れたことで、“勝てるかも”と思いましたから。

――嘘!? マジで?

石川ホントです。スタートで出負けすると、それを挽回するために、どこかで無理をしなきゃいけなくなる。余計な脚を使わないといけなくなるじゃないですか。それがないというだけで、気持ちに余裕も出てくるし、実際、脚を溜めることも出来ましたから。さすがにスタートの時点で、“勝てる”とまでは思いませんでしたが、“勝ち負けになる”とは思っていました。

――ということは、道中のポジションも想定通りだった?

石川あのポジションがベストで、それが無理なら、もう一列前…そのどっちかにはいたいと思っていたので、作戦通りです。

――ところが、最後の直線で前が塞がってしまって。競馬の神様が、「そんなに簡単には勝たせないよ」と言っているみたいだったよね。

石川いや、それが……。

――えっ!? なに? そうじゃないの?

石川みなさん、そういうんですけど。“よく抜け出せたねぇ”とか、“焦ったでしょう”とか。でも、乗っている僕としてはそうでもなくて。馬の状態はすごく良かったし、道中もリラックスして走っていて、脚が溜まっているのはわかっていたので、焦った感は、全然、なかったです。

――抜け出す場所だけを探していた?

石川横を走る武豊さんの手が先に動いたので、そこが空くだろうなと思っていて。ちょっとの隙間でもいける感じだったので、隙間を見つけた瞬間、“勝てる!”と思いました。

変わったのは、自覚と意識です

――話を聞いていると、終始、落ち着いている感じなんだけど、実際に、ずっと冷静だったの?

石川チャンピオンズカップを目指すことになってからはずっと緊張していたんですけど、パドックでジュンライトボルトにまたがったときに、不思議なくらいスーッと力が抜けて。かたまっていた気持ちがいい感じにほぐれたんです。

――そうかぁ。勝った後、浮かれている石川騎手を見て、それだけ緊張していたんだなぁと思ったんだけど…レース中は冷静だったんだね。

石川浮かれていた!? それはないです。GIジョッキーになったんだ、すごい先輩たちに仲間入りが出来たんだという自覚もありますし、それと同時に、さらに頑張らなきゃいけないという気持ちもあって。身が引き締まる思いです。

――ほんとに、浮かれてなかった?

石川ほんとです。浮かれていられる身分じゃないですし、そういう状況でもないですから。

――ウイナーズ・サークルの勝利ジョッキーインタビューで、サッカーW杯日本代表の長友佑都選手ばりに、“ブラボー!”とは叫んだけど、決して浮かれていたわけじゃないと?

石川えっ…。いや、あれは……ジュンライトボルトと友道康夫先生、厩舎のみなさん、河合オーナーをはじめとする関係者、応援してくださったすべての方に感謝の気持ちを伝えたくて……。

――しつこいようだけど、浮かれていたわけじゃないと。

石川…………すみません!
あの瞬間は、浮かれていました。

――ははははは。だよね。

石川はい。でも、浮かれていたのはあのときだけで、すぐにビシッとなって。今は、自覚を持って行動するようにしています。

――で、どうです!? GIの勲章を手にする前と後で、変化はありましたか?

石川同期はもちろん、とにかくたくさんの方から、“おめでとう!”というお祝いの言葉をかけていただいて。GIを勝つというのはこういうことなんだと思いました。でもそれ以上に、自覚とか、意識とか、自分の中で変わったことがたくさんあります。

――石川騎手の同期というと?

石川平成26年卒業の30期生は、僕と同じ美浦に、木幡初也と井上敏樹。栗東は松若風馬と小崎綾也。引退した義英真を含めて6人です。

――そうか、松若君と同期なんだ。ということは、同期でGIジョッキーになったのは、2020年にモズスーパーフレアで高松宮記念を勝った松若君に続いて2人目?

石川そうです。同期はめっちゃ仲いいですよ。グループLINEで、馬のことを聞き合ったり、プライベートの話もしています。

――競馬学校の同期って、ほんとにみんな仲がいいよね。誰に聞いても、みんな、仲がいいって言いますからね。

石川生活も授業も、ず〜〜〜〜っと一緒ですからね。絆は固いと思います。コロナ禍になってから同期会は出来ていませんが、関係性は変わっていません。

馬の気持ちを感じとる

――石川騎手は現在、27歳。そろそろ、結婚とかも考えていますか?

石川ないです。まったく考えていません。結婚したくないというわけじゃありませんが…いまは、ないです。あと10年このままひとりだったら、さすがに焦るんでしょうけど…一生ひとりかも!? とか(笑)。でも、いまは、ひとりを楽しんでいます。
というか、結婚に関しては、僕より、キャプテンさんの方でしょう?

――うん、そうなんだけど…僕が石川くんの歳のときは、借金地獄で……。いや、そうじゃない! まったく、なんてことを言わせるんですか(笑)。そんなことより――石川騎手といえば、僕ら馬券を買う人間にとっては、正体不明のところがあって。

石川えっ!? 正体不明? なんですか、それは?

――僕ら素人レベルでは、どう考えても勝てるはずのない馬で大きな穴を開けることがあるじゃないですか。それも、1度や、2度じゃなく、しばしば。あれはどういうことなんでしょう? わかるように説明してほしんですけど。

石川返し馬のときに、“こんなに低い評価の馬じゃないんだけどなぁ”と思った馬が、実際に勝ったことはあります。ただ、人気薄の馬で、実際にまたがった際も、“さすがに今回は厳しいかも”と感じた馬が、普通に競馬をした結果、勝っちゃうという場合もあって…。

――いや、何かあるでしょう? 石川騎手しか知らない秘密…例えば、中山の4コーナーに、ここを通れば、まちがいなく脚が伸びるという場所があるとか。

石川ないですよ(苦笑)。
そういうのがあるんだったら、僕が教えてほしいし、万が一ですよ、僕が知っているとしたら誰にも教えないですから(笑)。

――それはそうだ(苦笑)。でも、絶対に何かあると思うんだよね。これは得意だとか、これだけは、ほかの騎手に負けないぞという何かが。

石川得意なこと!? それでしたら、ひとつだけあります。

――ぜひ、それを教えてほしい!

石川馬の気持ちを感じとることです。
いま、こういう気持ちなんだろうなとか、こんなふうに思っているんだろうなとか、常に考えるように心がけていて。僕が感じとったものが本当に正しいのかどうかはわからないんですけど、馬と話はできないので。でも、それを考えることは大事なことだと思っています。

――それが馬にも伝わって、分かり合えるようになった?

石川5、6年前から続けているんですが、だといいなぁという希望も込めて、分かり合えるようになると信じているし、最近は、ちょっとだけですが、わかるようになってきたと思います。

――そこに、石川騎手が訳のわからない大穴を開ける秘密が隠されている?

石川いや、それは僕の口からは何ともいえないですけど(笑)

(構成:工藤 晋)

いしかわ・ゆきと
1995年9月22日生まれ 東京都出身
美浦 相沢郁厩舎所属
2014年3月1日、中山競馬第7競走で初騎乗。
初勝利は、47戦目となる、日本ダービーが行われた6月1日の東京競馬第2競走。
目標とする騎手は、ライアン・ムーア。
2022年のチャンピオンズカップで、ジュンライトボルトに騎乗し、デビュー9年目にして初のGIタイトルを奪取した。

キャプテン渡辺:1975年10月生まれ。お笑い芸人。競馬、競輪、パチンコ、パチスロは趣味の域を超えていまや生活の一部に。特技は関節技。現在テレビ東京系列で放送中の『ウイニング競馬』にレギュラー出演中。YouTubeで競馬予想更新中

※この記事は 2023年1月11日 に公開されました。

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