この私が切り込み隊長となって馬主、調教師、騎手に話を伺う『キャプテン渡辺のウィナーズサークル』。
手塚調教師へのインタビュー。4回目は、関東と関西の対抗意識、今後の目標、抱負などについてお話を伺いました。
対抗意識
渡辺:この前、京都で開催されたJBCで横山典弘騎手が勝ったときに「関東の騎手もここにいるんだぞ」とインタビューでおっしゃってましたが、調教師の中でも関東対関西の対抗意識はあるのですか?
手塚:ありますよ。私も菊花賞を勝ったときに、「来年も関東馬が勝てるようがんばります」とコメントしましたが、東は東でがんばんなきゃと思います。
渡辺:ジョッキーも含めて、関東がもっと勝つために、ここを変えたいみたいなところはありますか?
手塚:馬の資質はオーナーの理解もありレベルも上ってきていると感じますね。ジョッキーも関西に劣っているということは決してないので、そういう素質の高い馬に乗れるチャンスを増やしていかないといけないという想いはありますね。
渡辺:美浦と栗東の違いってあるのですか?
手塚:立地条件で不利な面はありますね。交通事情も栗東に比べたら不便ですし。でも美浦トレセンを別な場所に移すわけにはいかないですし、そういう競馬環境であることを事実として受けてとめて、それをカバーするためのことをしていかないといけないと思ってます。
渡辺:美浦トレセンはいまいろいろと改築してますよね。
手塚:ハードの面はこれからどんどんよくなります。栗東よりも先駆けて進めてますし、坂路もできますし、システム的にも関東のほうが先に変わるので、それが変わった5、6年後には素晴らしい厩舎環境になります。それを持て余さないように、十分活用して、いまよりも強い関東馬をつくって、G1シリーズは関東馬が半分以上だなという風にしたいですね。
渡辺:調教の質も高まりそうですね。
手塚:ハードの面がよくなるので、あとはソフトの面で我々調教師と助手とスタッフですよね。ハード面にソフト面のレベルが上がれば、関東、関西、変わらずといった時代にすぐなると思いますよ。
渡辺:東西対抗戦みたいなのを年に1回やってもいいかもですね。関東と関西で8頭ずつ出し合って1日それだけで番組を組むとか。
手塚:ある意味北海道シーズンはそれに近いですよね。同じ馬房数ですし。以前は関西馬の方が勝数がずっと多かったですけど、ここ2、3年関東馬もがんばっているのはいい兆しなのかなと思います。
渡辺:G1でも関東馬の活躍が目立ってきてますよね。
手塚:今年の秋のG1じゃないけれど、関東馬も関西圏で勝てるようになってきているので、その風に乗って、調教師も騎手もレベルが上がっていけばいいですね。
渡辺:相対的に日本人ジョッキーのレベルも上がっていけばwin-winですね。
手塚:そうですね。でも私のG1勝利はみな外国人ジョッキーだから、騎手のことはあまり大きな声で言えないんですが(笑)。
目標、抱負
渡辺:ちなみに、この騎手にお願いしたいとか手塚調教師の方から選択されるのですか?
手塚:お願いすることもありますね。ただこのジョッキーでいきたいと言っても、話し合いで折り合いがつかない場合もあります。
渡辺:外国人騎手が活躍していますが、日本人騎手と比べて違いはありますか?
手塚:背が小さいけど腕が長いとか、外国人騎手は馬に乗る上での体格で恵まれている部分はあると思いますね。馬の扱いも我々日本人とは違うというか。たとえば海外のレースを見ていてもパドックで馬と距離が近いですよね。馬をペットでないんですが、日本人よりもより身近に感じて接しているところはありますね。
渡辺:外国人騎手だけでなく、日本人ジョッキーも新しいスターが出てきてほしいですね。
手塚:それこそ、とんでもないジョッキーが出てこないかなと期待してます。
渡辺:最後に今後の夢、目標をお聞かせいただけますか?
手塚:調教師として知名度のある馬を育てたいという希望はいつもあり、今回フィエールマンで菊花賞を勝たせていただきましたが、毎年ああいった馬を手がけていきたいですね。あとやっぱりファンあっての競馬のなので、競馬ファンみんなが知っているような馬をつくっていかなければと思っています。数字だけにとらわれずに、印象に残るような個性的な馬を作っていきたいですね。
渡辺:これからも関東を盛り上げる活躍を期待しています。今日はありがとうございました。
手塚調教師へのインタビューは今回で終了です。次回は、木村哲也調教師へのインタビューです。