この私が切り込み隊長となって馬主、調教師、騎手に話を伺う『キャプテン渡辺のウィナーズサークル』。
戸崎騎手を迎えてのインタビュー2回目。今回は未勝利がつづいた時期の心境などについてお聞きしました。
スランプだったとき
渡辺:2018年のスタートは、中山金杯、フェアリーステークス、シンザン記念と重賞3連勝。勢いがすごかったですよね。でもその後、2月は3週続けて勝ち星から遠ざかりました。このあたりの時期は心理的にどういう感じだったのでしょうか?
戸崎:うーん、そうですね。キャプテンの立場でいうと、すごい面白いことを言っているのにみんなが笑ってくれない、みたいな感じですか(笑)。
渡辺:どんなたとえですか(笑)。
戸崎:最高の騎乗ができないというか、馬とのコンタクトというか、馬との一体感ができていない感じでした。
渡辺:なるほど。
戸崎:いま振り返ると、2017年にイギリスに行かせていただいて、全然日本と競馬が違っていてうまく乗れなくて。イギリス競馬で受けた衝撃が自分の中で残っていて、もっとこうでなくてはいけない、自分のここを成長させていきたいという想いもあり、どこか騎乗や馬へのコンタクトがチグハグなっていたのかなと思います。
渡辺:いまはご自身の中で修正された感じですか?
戸崎:以前よりは馬とはコミュニケーションはとれているなという感じはしてます。全部ではないですけど、前よりはよくなったという感覚はありますね。
馬への接し方
渡辺:どなたかがおっしゃってましたが、馬とコンタクトをとるとき、ある騎手は馬に「行け!」と叱咤する、別な騎手は馬に対して「こっち行って、お願い」とやさしく誘導する。で、武豊騎手は馬に対して「そっちにいった方がいいよぉ」という感じで誘導の仕方がうまいとお聞きしました。戸崎騎手の場合は、馬とのコンタクトは叱咤するのとお願いするのと、どちらですか?
戸崎:ボクの場合は、どちらかといえば馬に「そっちに行ってくれ」とお願いする方ですね(笑)。
渡辺:やさしいですね(笑)。以前内田騎手にお話を伺ったときは、ゴールドシップに対しては「お前には負けないからな」の姿勢で挑んでいたとおっしゃってました。
戸崎:実際は馬によって接し方は違いますが、どちらもバランスよく幅広くやれた方がいいと思いますね。自分が強さを主張するだけでもダメですし、やさしいだけでもダメな馬はいるでしょうし。
渡辺:馬の気持ちや状況を感じ取りながら、叱咤したり、やさしく誘導したりするわけですよね。そう考えると、馬の扱い方ってほんと難しいんですね。