この私が切り込み隊長となって馬主、調教師、騎手に話を伺う『キャプテン渡辺のウィナーズサークル』。
素朴な疑問として、戸崎騎手はいま何に悩まれているのでしょうか? 騎手として一番楽しいことは? 3回目の今回はそんな切り口でお話を伺いました。
騎手としての悩み
渡辺:いま騎手として何を悩まれていますか?
戸崎:唐突な質問ですね(笑)。
渡辺:素朴な疑問として、戸崎騎手が騎手としてどんなところに悩まれているのかなぁと思いまして。
戸崎:課題をあげるとすれば、自分自身の中の勝負根性ですかね。
渡辺:勝負根性ですか?
戸崎:勝ち切るところで勝たせるというか。ダービーにしろ安田記念にしろ、すごい騎手であればきっちりと勝ってたと思うんですよね。ダービーは半馬身差で安田記念はクビ差でしたから。あの差で勝てないというのは、騎乗技術だけでない何かが自分の中に必要なんだと思います。
渡辺:でもどちらも2着ですよ、それだけでも充分な気がしますが。
戸崎:この世界は結果がすべてですから。勝たなければならないと思いますし、別な騎手だったら違うアプローチで勝っていたかもしれない。馬はとても繊細なので馬へのアプローチの仕方ひとつで全然結果も違ってくるんですよ。どちらのレースも馬が頑張ってくれましたが、あそこで勝つためには別な何かが必要なんだと思います。
渡辺:そのひとつが戸崎騎手の中の勝負根性ということでしょうか。
戸崎:そうですね。自分の中でもうひとつランクを上げて成長できたら、結果も違っていたかもしれないと思ってます。
騎手として一番楽しいこと
渡辺:逆に騎手として一番楽しいことは何でしょうか?
戸崎:馬に乗っているときですね。ここ最近、そのことをまた感じるようになりました。
渡辺:なるほど。
戸崎:馬とコンタクトを取れているときが、すごく楽しいですね。一体になればもっと自分が楽しくなると思います。逆にキャプテンさんはいま何に悩まれているんですか?
渡辺:えっとですね。手持ちが5000円しかなくて、家賃どうしようとか、昼飯節約して飢えをしのごうとか、ですね…。
戸崎:でも馬券は買われるのですよね。
渡辺:はい。5000円あったらひと勝負できますよね…ってボクの話はどうでもいいですって(笑)。ちなみに騎手の方ってレースでの賞金とかお金は意識されるのですか? 話せる範囲で構いませんが。
戸崎:賞金が高い方が嬉しいは嬉しいですが、ボクはあまり意識していないです。騎手としてリーディングを目標にしてますし、未勝利もG1も勝ちたい気持ちはいっしょですね。勝ったときの嬉しさは多少違いますが、1着がほしい、それが一番ですね。
渡辺:お金の心配をしなくていいなんて羨ましい。人生をボクと変わりませんか?(笑)。
戸崎:もしほんの少しの期間でもキャプテンさんの人生を体験したとしたら、毎日が不安になりそうで、ボクにはキャプテンさんのような生活をするのは競馬以上に難しそうです(笑)。