キャスター小堺翔太さんへのインタビュー3回目。今回はコロナ禍でのエピソードを伺いました。
※ インタビューは、新型コロナウイルス感染予防のため三密を避け、ソーシャルディスタンスをとって行いました。
キャスターを目指すきっかけ
渡辺:翔太さんはいまタレント事務所に所属されてキャスターされてますけど、早くからこの仕事を意識されていたのですか?
小堺:いえ、全然です。就職活動で一般企業の面接や説明会にも行ってましたし、普通に企業に就職するものだと思ってました。本格的に目指すようになったのは大学最後の年になってからですね。大学のほかに、アナウンサーの学校に通っていまに至るという流れです。
渡辺:お父さんと同じお笑いタレントの道は考えなかったのですか?
小堺:はい。ラジオを聞くのが好きだったし、大学も放送部で仕事をするなら何かを伝える仕事をしたいと思ってたのでこの道を選びました。
渡辺:グリーンチャンネルのキャスターになられて、実は長いですよね。
小堺:2013年1月からなので、もう少しで10年になります。
渡辺:ボクが出演しているウイニング競馬と違ってオフィシャルだから、いろいろ神経使いそうですね。
小堺:馬名のいい間違えはもちろんご法度ですから、事前に何度も練習します。
渡辺:中継していて難しいと感じることってありますか?
小堺:馬名のイントネーションで迷うことがあります。特に新馬戦は実況の前例がないから、どう発音していいのだろうって悩みますね。
渡辺:そういう場合、どうされるのですか?
小堺:他のキャスターや実況アナウンサーさんの言い方を参考にします。新馬戦と2戦目でイントネーションが違うとき、ボクと同じく迷われていたのかなと気づくときもありますよ。
渡辺:馬名のアクセントは紙面の字面からはわからないですものね。
コロナ禍でのエピソード
渡辺:SNSもされてますけど、ファンから直接意見を言われたりしませんか?
小堺:それはあります。パドック解説が長引いてオッズの読み上げがレースのファンファーレとかぶったとき、声をかぶせないでって言われたりとかもありました。
渡辺:内心、しかたねーだろ!って思ったでしょ(笑)。
小堺:いえいえ(笑)。その方は愛馬のレースを全部DVDに録画されていて、その想いもわかりますし、観る人の立場を常に考えていても指摘を受けて初めて気がつくこともありますから、意見は大事にしたいと思ってます。
渡辺:コロナ禍での中継で、普段と違うなと感じたことってありますか?
小堺:オッズの変動幅が以前よりも大きくなりましたよね。特にボクの担当は日曜日の前半なので変動しやすいのかもしれませんが、パドック解説の方が推奨した10番人気以下だった馬がレース直前に上位人気になっていてビックリしたことがありました。
渡辺:在宅で中継を観る方が増えてレース直前までネットで馬券を買えるので、その影響ってオッズにも出ますよね。ボクの推奨馬ですら、オッズが変わることあります。
小堺:これは反省しないとというエピソードなのですが、とても快晴の日に中継で「今日は競馬日和ですね」と言ったら「我々は競馬場に行けずに家の中で中継見ているんだから、心が映える競馬日和ではない」と視聴者から意見を言われたこともありました。
渡辺:自粛中に外へ出歩けなかった時期もありますからね。
小堺:その日から「競馬日和」と言わないようにしました。それまで気軽に使えていた言葉が、状況が変わるとこういう風に響いてしまうのかと痛感しましたね。
ゲストに聞くキャプテン渡辺のここだけの話
- Q.お父さんからダメ出しされることはありますか?
- A.ほとんどないです(小堺さん)
渡辺:お父さんから今日のツッコミは甘かったよとか、そういうのはないですか?
小堺:一緒に住んでるんですが、仕事のことであれこれ言われることはないですね。
渡辺:放任主義というか、ガミガミ子どもに言わなそうですよね。
小堺:でも今日何レースで白い馬出てたねとか言われたことがあって。意外にもというか、見てるところは見てるんですよね。
渡辺:逆にお父さんが「ごきげんよう」など看板番組でテレビに出ている姿を観て、子どものときなどどう感じてましたか?
小堺:モノマネ、これウケてるの?って心配したり、大御所や著名人にツッコミ入れるときなど観ているこっちヒヤヒヤでした(笑)。
※中山馬主協会で2020年に発刊した『Record Book』にもコロナ禍での思いを寄稿いただきました。