この私が切り込み隊長となって馬主、調教師、騎手に話を伺う『キャプテン渡辺のウィナーズサークル』。
五十嵐騎手へのインタビュー2回目。今回は、デビューしてすぐに障害レースに跨った背景などについてお聞きしました。
デビューから障害騎手
渡辺:騎手デビューは2002年ですよね。
五十嵐:そうですね。
渡辺:デビュー前にこうなりたい、という騎手っていましたか?
五十嵐:武豊騎手はすごいなぁと思いましたね。G1どんどん勝ってましたし、格好いいですよね。
渡辺:五十嵐騎手の経歴を見ると、デビューしてすぐに障害競走に乗ってますよね。
五十嵐:デビュー1年目から障害レースにも騎乗してました。もっと言うと、障害馬にはデビュー前から跨ってましたね。
渡辺:最初から障害レースにも騎乗するケースって珍しいと思うんですが、それはどういう経緯からですか?
五十嵐:ボクの師匠は菅原泰夫調教師なんですが、先生から障害馬に乗ると技術がしっかりするから最初から乗れって言われて。競馬学校の卒業が2月なんですけど、ちょうど障害レースデビューする馬がいて、その馬はボクが跨って障害試験受けたんですね。そのこともあって、3月に騎手デビューしてからすぐその馬の中山競馬場での初障害を乗りました。
渡辺:平地レースと障害レースって違うと思うんですが、抵抗感はなかったのですか?
五十嵐:競馬学校で馬に跨ってジャンプもさせていたので、何の抵抗もなかったですね。騎乗料も平地競走よりもらえますし、障害競走もひとつのレースと思って最初から乗ってました。
渡辺:でも怖いですよね。1メートル以上の柵を飛び越えるわけですから、恐怖心とかありませんか?
五十嵐:怖い気持ちもないわけじゃないんですが、ゲート開いてしまえば覚悟は決めてるんで恐怖心はないですよ。
平地レースと障害レースの違い
渡辺:これだけ障害に乗ってきたオレだから、平地しか乗っていない騎手とはここが違うぞというのはありますか?
五十嵐:ないです。
渡辺:あ、ないんですか(笑)。
五十嵐:皆さんが乗っていないというだけであって、障害馬に乗るのも、平地に乗るのも、それほど技術は変わらないと思いますよ。
渡辺:馬をジャンプさせるのって難しそうじゃないですか?
五十嵐:最初は簡単じゃないかもですが、競馬学校卒業したジョッキーなら皆さんできると思います。
渡辺:平地と障害レースの一番の違いってどこですか?
五十嵐:レースのスピードは全然違いますよね。馬の飛越については、騎手の技術よりも、馬がちゃんと飛べるようになってもらうことの方が大事です。飛ぶのは馬ですから。
渡辺:なるほど。
五十嵐:騎手の技術を問われるのは、馬の飛越センスを活かしてレースをどう作っていくかですね。
渡辺:馬券を買う側からすると、障害競走ってどう判断して馬券を買ったらよいのかわからないんですよ(笑)。馬の飛ぶセンスとか、やっぱわからないです。
五十嵐:レース前に馬柱見ながらあれこれ考えるんですが、だいたい強そうな馬は数頭に絞られますね。実際、その馬同士で決まるケースがほとんどですよ。だから障害競走は馬券そんなに難しくなさそうに思うんですけど。
渡辺:そうなんですか? でもこれが、落馬のリスク考えたら結局あれもこれもと買い目が増えてしまうんですよ (笑)。