この私が切り込み隊長となって馬主、調教師、騎手に話を伺う『キャプテン渡辺のウィナーズサークル』。
山田敬士騎手にお越しいただいてのインタビュー3回目。今回は、初めてレースに出走してみた感想などを中心にお話を伺いました。
実践で感じたこと
渡辺:ジョッキーになって初騎乗が3月3日中山競馬場での3歳未勝利戦でした。初めてレースに出走していかがでしたか?
山田:とてもシビアだと感じました。あと競馬を知るためにもっと馬に乗らないといけないと思いました。
渡辺:なるほど。
山田:レース中の駆け引きとか、これは一生かかっても分からないと圧倒されました。
渡辺:外からレースを観ていると、そのあたりのレース中の騎手の心理ってなかなかわからないんですが、実際にレースで馬を走らせてみると全然思っていたのと違うわけですよね。
山田:レースごとに馬の脚質も馬の体力も違いますし、16頭出走していたらみんな勝とうと思っているので、馬を自分のコントロール下におくのは前提ですけど、その中で周りをいかに見えているかが大切で、レース中の直感も大事だなと感じました。ここのスペースが開きそうだけど、入ったら閉められちゃうなとか。
渡辺:レース中の判断ってほんの一瞬ですものね。
山田:勘を感じとって体が自然に反応できるというか、なかなか難しいですが。
渡辺:レース中に先輩への遠慮などはありますか?
山田:それはないです。遠慮していたら勝てないですから。ただ危ない突っ込み方はしないようにしないととかはありますが、遠慮はないです。
渡辺:レース中に騎手同士で声を掛け合ったりはされているのですか?
山田:怒号が飛び交ってます(笑)。
渡辺:騎手にピンマイクをつけてレースをしたら、違ったレースの一面が見られそう(笑)。
山田:例えば車を運転していてウィンカーなしでギュッと入られたら危ないですし。ボク自身の未熟なところで、まだレース中に急に動くところがあって。そのときは「危ない!」と叫ばれたりしてます。
渡辺:外から内に入るとき、騎手が後ろを見ながらじわじわ入りますが、あれは車でいうところのウインカーみたいな意味もあるんですね。
山田:後ろでつけている騎手に内に入るよという雰囲気を伝えることが大事だと思ってます。
ファンを増やすために
渡辺:レース中の駆け引きを知ると、競馬ってもっと楽しくなりますよね。
山田:ボクがいうのもなんですが、競馬って奥が深いと感じてます。馬券を買ってレースを見る楽しみもあると思いますが、馬に乗ってレースに参加するのはまた違った意味で楽しいです。
渡辺:騎手しか味わえない楽しさですよね(笑)。
山田:スポーツとしての楽しみというか、動物としての馬に素直に接する楽しさというか、馬券以外の切り口だけではない競馬の楽しみ方を伝えていけたらなと思ってます。
渡辺:競馬に興味を持つ人をいかに増やしていくかも大事ですよね。
山田:たしかにそうですね。でもどうしたらよいのかわからないので、逆に教えていただきたいくらいです。
渡辺:ボクはスターホース、スタージョッキー、この2つだと思ってます。それこそディープインパクトと武豊騎手であったり。
山田:なるほど。
渡辺:馬券を毎週買っている我々のようなギャンブル好きは、何があっても馬券は買いますから。それよりも一般の方、世間をいかに競馬に惹きつけるかですね。それには大スターがほしい。競走馬の現役生活は短いので引退したら終わりですから、スタージョッキーに出てきてほしい。
山田:たしかに出てきてほしいですね。
渡辺:そこでボクがスター騎手になります!と言わなきゃ(笑)。
山田:(笑)。そうなれるようがんばります!