この私が切り込み隊長となって馬主、調教師、騎手に話を伺う『キャプテン渡辺のウィナーズサークル』。
加藤征弘調教師にお越しいただいてのインタビュー。2回目の今回は、当歳を見るときのポイントなどを伺いました。
強い馬は何かが違う?
渡辺:調教師はほぼ毎日馬と接していますよね。速い馬、強い馬は他の馬と比べてオーラというか、何か違ったりしますか?
加藤:風格のありなしはありますね。
渡辺:ライオンの場合、喧嘩が強いイコール王者になると思いますが、馬の場合にもそういうヒエラルキーみたいなものはあったりするのでしょうか?
加藤:厩舎の中で風格がある馬がいると、そういう馬に対して他の馬は歯向かう行為はしないですね、不思議と。
渡辺:なるほど。
加藤:これは厩舎の中だけじゃなく、牧場でも同じような話を聞きますよ。
渡辺:以前何かの本で、シンボリルドルフはレース以外でも威圧感が凄かったというようなエピソードを読みました。
加藤:風格や貫禄がある馬は、レースでも強いケースが多いです。
渡辺:加藤調教師がこれまで、そのような風格を感じてこれはG1級だと思われた馬はいますか?
加藤:レゴラスだね。あの馬は間違いなくG1クラスだと思いました。性格もそうだし、反抗心も強かった。
渡辺:1000万クラスで有馬記念に出走されましたよね。過去重賞レースを1度も走ったことなくて、1000万の身でありながらいきなりG1挑戦しかも有馬記念。外から見ていてなんてメチャクチャなローテーションだと当時は思いました(笑)。
加藤:自信はありましたよ。結果も斤量57キロ背負って7着でしたから、相当強かったことは間違いないです。
渡辺:メイショウサムソン、ウオッカなどのG1馬よりも先着してましたし。
加藤:間違いなく素質はありましたね。でも手に負えないほど反抗心が強かった。あとピットファイターも風格ありましたね。G1前に故障してしまって残念でしたが、順調にいっていれば間違いなくG1も獲れてたでしょうね。
当歳を見るときのポイント
「もしわかっていたら年間G1・20勝しますよ」(加藤)
渡辺:これから当歳馬のセールなどが始まりますが、走る馬って早い段階からわかったりするものなのでしょうか?
加藤:もしわかっていたら年間G1・20勝くらいできちゃいますよ(笑)。
渡辺:当歳馬を見るときのポイントなどありますか?
加藤:歩かせたときの骨格と体重の受けが深いかどうか、それから背中がゆれない馬かどうかをチェックしますね。受けが深くても背中が揺れていたら効率よく走れないですし。かつ起き上がりもいい馬は、走らせてみてもこちらがイメージしたのと同じように走りますね。
渡辺:そうなんですね。
加藤:でもこれは私の主観だから、これまでずっと馬を見ているうちにそういう馬を覚えているだけかもしれないですし。
渡辺:血統などは気にされますか?
加藤:最初からはあまり見ないです。血統表を見ると、先入観ができちゃうんで、まずは馬だけを見ますね。先入観なくして、双眼鏡ひとつで判断しますよ。