いよいよ目前まで迫った有馬記念。G1が揃い踏みし今年総決算のレースが行われます。弥永さんへのインタビュー2回目。今回は有馬記念について語っていただきました。
有馬記念は世界に誇れる一大イベント
渡辺:有馬記念がいよいよ目前に迫ってきました。毎年のことですけど、有馬記念が近づくと他のレースとは違った高揚感が高まりますよね。現時点で注目馬はいますか?
弥永:過去の実績でいけば3歳馬が中心になるよな。他だとリスグラシューが魅力あるね。
渡辺:今年はジャパンカップを経由せずに有馬記念に向かう有力馬が多かったこともあり、メンバーも揃いました。
弥永:しばらくの間、寂しい有馬記念がつづいたからね。外国に行ったり、他路線を使ったりでさ。
渡辺:有馬記念はやっぱり最強メンバーが揃ってほしいと思ってます。
弥永:ファン投票で選ばれた馬は、故障とかしない限り出走しないといかんよ。そりゃ馬は生き物だから得意不得意があって使えないという理屈もわかるけど、お祭りだからね。JRAだってファン投票までしてるのに、回避とかありえんよ。
渡辺:プロ野球オールスターだと、ファン投票で選ばれた選手が辞退するとペナルティを課せられますね。
弥永:競馬にも導入してほしいよな。故障とかやむを得ない理由以外で回避した場合は、その馬や厩舎を何ヶ月か出走停止にするとかさ。
渡辺:投票上位の馬がほぼ回避なんて、ファンとしてもがっかりですからね。
弥永:特別出走奨励金ができて、だいぶ改善されたよ。ファンに選ばれて有馬記念に出走するだけで、お金が入ってくるので出走馬の質もよくなった。制度ができるまでを舞台裏見てきたけど、できてよかったと思ってるよ。
渡辺:今年の出走馬について印象はいかがですか?
弥永:ファン投票上位の馬がほぼほぼ顔を揃えたので、メンバーとしては80点をあげてもいいな。
(インタビュー後、アーモンドアイが有馬記念に出走表明)
有馬記念の思い出
渡辺:数々の有馬記念を見てきた中で、思い出に残る有馬記念はありますか?
弥永:オグリキャップのときは地鳴りが起きたし、昔は有馬記念に入場するために徹夜組が1週間前から中山競馬場をぐるりと取り囲んでいてさ。当時と比べたら、だいぶ落ち着いてきたけど、有馬記念は一大イベントであることには変わりはないよ。
渡辺:サクラローレルが勝った1996年のレース売上が875億円。1レースだけでこの売上ってものすごいですよね。世界も含めて競馬史上最高の売上額でギネスにも載ってます。
弥永:当時競馬は売上4兆円産業だったからな。競馬の“け”の字も知らない人も、有馬記念なら馬券買うしね。オレにとって有馬記念は世界に誇れるお祭りだよ。
渡辺:中山馬主協会の西川会長も有馬記念は年末の一大イベント、世界一注目を集めるレースにすべきだと語られてます。
弥永:これはオレの勝手なポリシーなんだけど、有馬記念はそれくらいのレースだからこそ、逆にレースを見ずに競馬場をあとにした年が4、5回あった。
渡辺:有馬記念を見ずに帰ったんですか? それはなんでですか?
弥永:さっきも言ったけど、ファン投票上位馬がこぞって回避、メンバーが相当寂しい、そんな有馬記念をオレは見たくなくてね。そういう年は、ハンガー・ストライキじゃないけど有馬記念だけ馬券を買わずに帰る。
渡辺:ボクは有馬記念とダービーだけは、馬券を当てたいという気持ちが強いです。
弥永:ダービーもいいけど、有馬記念はダービーと違ってみんが選ぶわけだからさ。それに過去のダービーを思い返しても半分以上忘れてるけど、有馬記念は思い返せる。
渡辺:有馬記念の馬券の攻略法ってありますか?
弥永:馬券当てたいというのもあるけど、その年で自分が好きな馬を買うのもありだと思うよ。1年の総決算、お祭りなわけだからね。
騎手に聞くキャプテン渡辺のここだけの話
- Q.過去の有馬記念で会心の馬券だったレースを教えてください。
- A.グラスワンダーが勝った年だね。(弥永さん)
渡辺:どれくらい儲かったんですか?
弥永:払い戻しにいったら、窓口の人がでてきて「いまお金が足りないから、下からもってきます」って言われたよ(笑)。
渡辺:すごい!そんなことボクも言われてみたいですよ。
弥永:本命対抗で1点しか買わなかったからね。グラスワンダーにはいい思いさせてもらったよ。