この私が切り込み隊長となって馬主、調教師、騎手に話を伺う『キャプテン渡辺のウィナーズサークル』。
内田博幸騎手にお越しいただいてのインタビュー4回目は、ゴールドシップ、今後の目標などをお聞きしました。
ゴールドシップ
渡辺:インタビューで馬の性格や競走馬としてレースに走らせるまでの大変さの話題がでましたが、内田騎手というとゴールドシップが思い浮かびます。ゴールドシップもやりとりするのに大変な馬だったのではないでしょうか。
内田:ゴールドシップはすごかったですね(笑)。
渡辺:すごかった(笑)。
内田:競馬って人間の手が加わって成り立っているので、馬がわがままだとどうしようもない。人間が上だと思わせないといけないので、ゴールドシップには気迫で押し返してましたね。
渡辺:それは調教のときですか?
内田:調教のときもそうですし、返し馬や輪乗りのときでもそうですね。「お前に負けないからな」「やったらやりかえすからな」「やるならやってみろ」という気持ちですよ。その気迫でゴールドシップには対してました。あれだけ気の強い馬で500キロもあって、オレが一番だと思っている馬に対して、気迫で負けたら何もできないですよ(笑)。
渡辺:馬をコントロールするというか、そういう手の内に入れるのは何か技術があるのでしょうか?
内田:ちょっとしたコツはありますね。上のクラスにいる馬でレース前に立ち上がってしかたがない馬でも、ちょっとしたことで立たなくなったこともありますね。
渡辺:なるほど。
内田:全部がそううまくいかないですから、自分でも賭けの部分はありますが、そういう馬に対する経験も含めて引き出しを多く持つことがレースにも役立つのかと思いますね。だてに30年ちかく騎手をしていないですから(笑)。
さらなる高みを目指して
渡辺:内田騎手は1970年生まれで50歳も見えてきていますが、まだまだ全然現役最前線でいけますね。
内田:コンディションも含めて自分ではまだまだいけると思ってます。若い子も頭角を現してますが、ベテランはベテランの味を出して、若い子は若いフレッシュなレースをして、互いに競い合って技術を向上させていけたらと思ってます。
渡辺:若い騎手のレースを意識したりしますか?
内田:レースでボクだとそこまで積極的にできないな、と思うことはありますね。若い子だけでなく、ベテランの方でもさすがだなぁと思うことはありますよ。
渡辺:そういうのを盗んだりしているんですか?
内田:好調なジョッキーの勝ちパターンとか見て、今日はこういう感じがいいのかとかね。そういうところも自分なりに吸収していくことは大事ですから。
渡辺:的場文男騎手は60歳を超えてますが、何歳くらいまで現役を続けたいとかありますか?
内田:馬に乗りつづけられる限りは続けていきたいですね。石崎(隆之)騎手に森下(博)騎手も60歳超えても馬に跨ってますし。
渡辺:そう考えると内田騎手もまだまだ若手ですね(笑)。
内田:いま時点では結構頭数を乗ってもきついとは感じてないですし、あと何年か経ってどうなるかはわからないですが、乗せてもらえる需要があるならつづけていきたいですね。乗せてもらえるような騎乗をして、それにはまだまだ自分なりに変えていかないところは変えていって、引き出しを多くして、技術を高めていかないといけないという気持ちはありますね。
渡辺:2008年に地方から中央に来て、そのとき中央の騎手には負けたくないという気持ちはありましたか?
内田:地方騎手だからとか、中央騎手だから、あるいは外国人騎手だからとかはそういう枠にはとらわれたくないですね。むしろ騎手だから負けたくない、それだけです。
渡辺:最後に今年の目標をお願いできますか。
内田:一番はG1を勝つことですが、フェブラリーステークスを勝ったので、そうですね。年間100勝して、もうひとつG1勝ちたいですね。
渡辺:勝利数3桁はひとつの目標ですか?
内田:やっぱり騎手ですから、できなくてもそれに向かって頑張る、できなくても精一杯やっていれば、よし来年こそだと次に向かっていけますので。
渡辺:ボクとしてはリーディングを目指してもらいたい。
内田:スキがあればもっと上位にいきたいなと思ってます。まだまだ高みを目指して引き出しを増やして年間100勝、がんばりますのでよろしくお願いします。
内田博幸騎手へのインタビューは今回で終了です。次回は、加藤征弘調教師へのインタビューです。