この私が切り込み隊長となって馬主、調教師、騎手に話を伺う『キャプテン渡辺のウィナーズサークル』。
レッドファルクスでスプリンターズステークス二連覇を達成した東京サラブレッドクラブ 西川哲社長、また特別ゲストとして一口クラブのあり方に深い関心を寄せクラブ運営を応援している山本英俊オーナーにお越しいただきました。今回はJRAについてどう感じているかをお聞きしました。
JRAに望むこと
渡辺:競馬を盛り上げるために、JRAがもっと取り組んだ方がよいことなどありますか?
西川:海外競馬もすごく研究されていますし、競馬を盛り上げるために海外馬券も買えるように整備されたし、馬場の改良もされていて、札幌の馬場など世界に誇れるくらいよくできていますよ。
山本:海外競馬も単に馬券発売するレースの宣伝だけはなくて、海外競馬全体の情報をJRA-VANなどを通じて盛んに発信していますね。日本に居ながらにして、世界中の何億という競馬ファンと同じ時間と空間を楽しめるように努力しています。この1年くらいで日本の競馬ファンの相当の方々が海外通になりました。また西川社長が言われた新装の札幌競馬場なんかは世界レベルですよ。胸を張って良いと思いますね。同時に並行して番組編成面でもキメ細かい工夫がされて、クラシックを目指すような馬にも魅力に映る距離体系のレースが増え、実際に札幌デビュー馬からオークス馬が出たり、ダービーの有力候補が複数初陣を飾ったり、凄く盛り上がっています。馬主や調教師が安心して使える競馬場になっていると思いますね。こうした機運を全場に広げていっていただけたらありがたいですね。
西川:師走の国民的行事である有馬記念でも、海外のビッグレース並みに枠順抽選をテレビ中継するなどJRAにしかできない取り組みを積極的に進めています。ご承知のように、もともとは中山馬主協会が有馬記念プレミアムレセプションという形でやっていたのですが、それを快く引き継いで中山競馬場の宝である大レースを一層盛り上げてくれています。これからもさらに発展していくと確信しています。
渡辺:バトンタッチした馬主協会さんも大人なら、されたJRAも大人ですね。さすが紳士のスポーツと言われる競馬ならではのエピソードですね
西川:もしJRAが次の取り組みとして取り上げていただけるとしたら、除外の問題でしょうかね。
渡辺:除外ですか?
山本:古馬のG1に関してはレーティングで上位5位までの馬は優先的に出走できるようになっています。私自身の経験で言えば、カジノドライヴがフェブラリーSにレーティングで出走させていただき、機会を与えていただいたことには本当に感謝しています。結果はハナ差で2着に負けたんですが、私の馬が出ることで出られなくなった馬の分まで馬も調教師も頑張ってくれました。素晴らしい経験をさせていただきました。ただクラシックレースについては賞金不足の馬は、現状ではトライアルで権利を確保するしかありません。しかしそのトライアル出走も非常な狭き門になっていますから、能力が高いのにデビューが遅れた馬は除外つづきで一生に一度のクラシック出走の機会を得られないケースもでてきます。クラシックについては、若駒のことですから難しい面も山積しているでしょうが、出走馬の半分くらいは公正なレーティングで選ばれたら良いなぁと思います。
渡辺:なるほど。強くて将来有望な馬が出てくればレースも盛り上がりますね
山本:欲を言えば、ですね。私も世界のあちこちを回って、いろいろと見聞きしてきたんですけれど、公平に見てJRAの優秀さとか先進性は際立っていると思います。JRAの方がいろいろされているので、たくさんの競馬ファンを楽しませて、これだけの売上も続いているわけですから、そこは大いに評価しないといけないと思います。