
こんなわたくしでもいつか馬主になってダービー制覇したい!有馬記念を勝ちたい!ということで始まりました『キャプテン渡辺のウィナーズサークル』。
調教師が競馬ファンに対してできることとは? またG1制覇後の次の目標なども含めてお話を伺いました。
いきつくところは気性だと思います(菊沢)

渡辺:そもそもの疑問なのですが馬の能力ってある程度、初めから決まっているものなんですか。それとも調教師によって引き上げていくものなのでしょうか?
菊沢:馬の能力ってある程度生まれ持ったものがあると思うんですが、逆にその能力を出せないで終わってしまうこともあります。まったく能力がない馬はいないと思いますね。
渡辺:能力を出せないで終わる原因はなんですか?
菊沢:馬の気性も大きな要因のひとつですね。
渡辺:身体能力よりも気性ですか?
菊沢:いきつくところは気性だと思います。
渡辺:プロ野球選手でも最後はメンタルだと聞きます。馬もそうですか?
菊沢:特に牝馬はそうですね。
渡辺:たしかにすごい身体能力持っているのに、気性のせいで出世しなかった馬が山ほどいると聞いたことがあります。
菊沢:素質はあるのに追い詰められちゃって意固地になってしまう馬もいます。緊張してご飯も食べれなくなる馬もいます。
渡辺:ご飯を食べれないと力も発揮できないですよね。
菊沢:はい。でも気性が素直すぎるだけでもダメで。負けん気がないと。人が困らせるくらいの負けん気が、競馬に行くと強みにもなりますし。
渡辺:負けん気と聞いてすぐ思い浮かぶのがオルフェーヴルですね。
菊沢:オルフェーヴルの場合は、素質もありますし。根気よくおつきあいすれば馬は言うこと聞いてくれるようになりますが、最初のうちは大変だったと思いますね。
渡辺:かつてモノポライザーという馬が怪物だと騒がれていたのに、あまり出世せずに終わりました。やはり気性だったのかなぁ。
菊沢:エンジンがすごくいい馬でも、車でいうシャーシーとかタイヤが弱いとダメですし。
渡辺:カンパニーみたいに8歳になって強くなるケースもありますね。
菊沢:馬の完成は馬それぞれあると思います。8歳まで走った中で、どこかで休養して成長期があったと思います。骨折で休んだのか、筋が痛くて休んだのかはそれぞれですが、どこかでその馬にとりいい休養があったんだと思います。
日本人騎手の新たなスターも
出てきてほしいですね(渡辺)

「日本人ジョッキーの騎乗機会を増やしていただけるとうれしい」(菊沢)
渡辺:競走馬とジョッキーと手が合うといいますが、馬と騎手との相性はありますか?
菊沢:ありますね。一流ジョッキーのルメールさんにしろデムーロさんにしろ、タイプが違いますし一流といえども相性のよしあしはあると思います。
渡辺:春のG1ではルメール騎手のG1・3連勝など外国人騎手が話題になりますが、日本人騎手の新たなスターも出てきてほしいですね。
菊沢:そうですね。
渡辺:ボクが競馬を始めたころは武豊騎手が話題の中心でした。
菊沢:武騎手はボクのひとつ上の世代なんですね。競馬学校で1学年上なのにデビューしてからあっという間にスターになっていきました。
渡辺:ルメール騎手、デムーロ騎手もいいですが、相撲界も稀勢の里が横綱になってますし、日本人騎手の活躍を見たいです。
菊沢:ぜひ馬主さんには、日本人ジョッキーの騎乗機会を増やしていただけるとうれしいですね。
渡辺:ボクが言うのもなんですが、騎乗しないとうまくならないですものね。そういう意味でいくと、アルアインのダービーでの松山騎手は大きな経験になりましたよね。
菊沢:本人にはとても大きな経験になったと思います。
ファンの方の盛り上がりに応えられるような馬作りをして、
皆さんに喜んでいただけるようがんばります(菊沢)

「皆さんに喜んでいただけるようがんばります」と菊沢調教師
渡辺:そろそろお時間が迫ってきました。調教師がファンのためにできることはなんでしょうか?
菊沢:競馬ファンの方にもいろいろなタイプがいると思います。純粋に馬券が好きな人、馬が好きな人、ジョッキーが好きな人。いろんなファンがいる中で調教師ができることといえば、いい馬を育てて、皆さんの期待に応える、それがボクら調教師ができる最もベストなことだと思います。レースも中央だけでなく地方も含めて多くのレースがあります。10頭立てであれば、1番人気から10番人気まで馬が並んで。自分の管理している馬が少しでも馬券圏内に入って貢献できるのが一番ファンに対してやるべきことかなと思います。
渡辺:前回吉田俊介代表とのインタビューでも同じような会話をしたのですが、ディープインパクトを超えるようなスターホースを菊沢厩舎から出してほしい。それがファンに対して1番だと思います。一番のファンサービスは最強馬を作ることだと思います。ファンもそれを求めてますからね。
菊沢:調教師の免許をもらい、目標に掲げたのがリーディングトレーナーになることと、G1ホースを育てること、それから世界に羽ばたける馬を送り出すことでした。その夢はいつでも持ってます。
渡辺:G1を勝つ夢はアエロリットで叶いましたものね。
菊沢:はい。
渡辺:次の目標はリーディング、または海外G1ですね。
菊沢:夢をかなえられるようがんばります。
渡辺:最後に競馬ファンへひとことお願いできますか。
菊沢:競馬もボクが騎手時代よりも盛り上がってきています。ファンの方の盛り上がりに応えられるような馬作りをして、皆さんに喜んでいただけるようがんばります。
渡辺:今日はありがとうございました。次はアエロリットの宝塚記念優勝後にまたお願いします。
菊沢:そのローテーションはボクは反対します(笑)。
菊沢隆徳調教師へのインタビューは今回で終了です。
次回のゲストは藤澤和雄調教師です。





























































