ゲスト 永島 まなみ 騎手
02. ペースを測るのは、乗っているときの風の感じや目に飛び込んでくる色の速さです
全部好きだけど、全部難しい
――デビュー1年目は7勝。2年目の今年は、ここまで、6週連続Vを含む19勝。数字的には、“うん、頑張ったな”というのはありますか。
永島数字は去年より上回っていますが、私の未熟さのせいで勝たせてあげられなかったレースもあるので、そこはやっぱり反省点です。
もっと、もっと、競馬を、レースを、馬を見つめ直して、ひとつでも多く勝てるように、来年はもっと頑張りたいと思っています。――今の言葉は、インタビューしている人間としてはすごく嬉しいんだけど、馬券で勝負している人間にとって、永島騎手は本当に馬券師泣かせのジョッキーで。ものすごい人気薄でも来ちゃうから、いつ狙ったらいいのか、わからないんだよね(笑)。
永島乗せていただいた馬は、全部、勝つつもりで乗っているので、それは、私にもわからないです(笑)。
――今は、4キロ減だから、逃げる競馬が多くなっていると思うけど、逃げる競馬って難しくないですか。
永島逃げる競馬も好きですし、後方から脚を貯めて追い込む競馬も好きです。ただ、全部、好きで、全部が楽しいけど…でも、全部が難しいです。
――逃げているときのペースは、体内時計?
永島人それぞれだと思いますが、私は、乗っているときの風の感じや景色で判断することが多いです。
――風や景色!? マジですか?
永島たくさん乗せていただいているので、顔に当たる風の感じや、目に飛び込んでくる色の速さなどで、ほぼ正確に測ることが出来るようになって来ました。
――ということは、62秒で行こうと決めたら、そのタイムでいける?
永島はい。これくらいかなという感じがあって、レース後、きちんと確認するんですが、最近は、ほぼ合っているので、それを完璧にするのも目標のひとつです。
――それは、すごい情報を教えてもらったような気がします。逃げ馬に乗ったときの永島まなみ騎手は、絶対に、買いですね。
永島最近は、追い込みでも勝てるようになっているので、そこも見ていただけると嬉しいです。
寝ても覚めても…Snow Man
――そもそもの話を訊きたいんですが、お父さんが、現役時代2043勝を挙げた園田・姫路で騎手(現・調教師)をされていたということで、割と早い時期から騎手を目指していた?
永島最初に騎手になりたいと思ったのは、5歳の時です。園田競馬場に住んでいたので、小さい頃からよくレースを見ていて。馬に乗っているときの父がものすごくかっこよく見えたのが始まりでした。
――“ジョッキー王に私はなる!”宣言をしたとか。
永島それはないです(笑)。
小学校5年生のときに、JRAの阪神乗馬スポーツ少年団に入れていただいて、初めて馬に乗ったときは、大きくて、高くて、怖いと思いました。
――親の反対は…いや、お父さんがジョッキーだと、それは、ないか。
永島なかったです。逆に、頑張れ! と応援してくれました。
ただ、友達は、競馬のこともよくわかっていなかったので、ジョッキーって、なに? という感じでしたけどね(笑)。
――競馬学校の3年間は、楽しかった? それとも、ツラかった?
永島慣れるまでは、結構、大変でした。それまで母が全部やってくれていた掃除や洗濯も自分でやらなきゃいけないですし、朝から、寝るまで、ず〜〜〜〜っと、競馬漬けの毎日は、楽しかったんですけど、慣れるまで、ちょっと大変でした。
――今も競馬漬けの毎日だと思うけど、息抜きはどうしています。休みは月曜だけだよね?
永島はい。休みの日は、目覚ましをかけずに、目が覚めるまで寝ています(笑)。
で、起きたら、Snow Manを曲を聴きながら部屋の掃除をして、それが終わったら、自分でブランチを作って、Snow ManのDVDを観ながら食べて…という感じですね。
――ず〜〜〜〜っと、Snow Man?
永島はい。ず〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っと、Snow Manです。
Snow Manの曲を聴いたり、Snow Manのライブ映像を見ているだけで、どんな疲れも吹っ飛んじゃいます!――オジサンには理解しづらい感覚だけど(笑)。まぁ、それはそれとして、ブランチを作るくらいだから、料理は得意?
永島作るのも、食べるのも好きで。騎手寮には食堂があるんですけど、まだ、一度も、食堂を使ったことはないです。
――えっ!? そうなの? 全部、自分で作っているんだ、それは、すごいよ。
永島共同の洗濯スペースにシンクがあって、そこに、IHのコンロをひとつ置いていただきました。
――得意料理は…目玉焼きとか、野菜炒めとか?
永島そういうときもありますけど(苦笑)、お肉が好きなので、ハンバーグとか、唐揚げとか、韓国料理のヤンニョムチキンとか、ジャンルを問わず、その時に自分が食べたい物を作って食べています。
結婚できない宣言?
――すごいね! もう、いつでも、結婚できそうだ。
永島いや、それが、ですね…………。
――いきなり声がちっちゃくなっちゃったけど…もしかして、結婚したくないタイプ?
永島そうじゃないです。いつか…そうですね…35歳くらいまでに、だれか素敵な人に巡り会えたらいいなぁというのはあるんですけど……。両親から、「あなたはきっと結婚できない」と言われているので…。
――WHY?
永島結婚したら旦那さんが大変すぎると。
姉や妹と喧嘩になると、怒鳴り声をあげたり、髪の毛を引っ張りあったりと、結構、ヤンチャだったので(苦笑)、あれを間近で見ていた両親が、結婚は無理だろうと思うのも、わからなくはなくて……。
――そうは、見えないですけどねぇ。
永島見えないだけですから(笑)。
――はははっ。そういうところは、純度100%、おもいきりジョッキー向きの性格なんだね。じゃあ、どこか行ってみたいところとかは、ないの?
永島海外に行ってみたいです。
――プライベートで? それともジョッキーとして?
永島ジョッキーとしていけたら最高なんですが、まだ一度も海外に行ったことがないので、プライベートでもいいから一度は行ってみたいなと思います。ただ、ジョッキーは休みがないので、海外に行けるチャンスがあるとしたら、やっぱり、ジョッキーとして、ですね。
――そうか、よく考えたらジョッキーは、長い休みが取れないんですよね。来週、1週間の休みをくださいとかって、言えないもんね。
永島言えないです。絶対に、無理です。
――ノリさんに相談してみるとか?
永島一言、アホって言われて終わりです(苦笑)。
――はははははっ。では、インタビューもそろそろ終了となりますので、最後に一言、お願いします。
永島まず、これまで応援してくださった方々、いろんなアドバイスをくださった方々、チャンスを与えてくださった方々には、感謝の気持ちでいっぱいです。
本当に有難うございました。
来年はデビュー3年目…ひとつでも多く勝てる騎手を目指して頑張りますので、応援、よろしくお願いします!!
永島まなみ20歳、勝負の年です!
(構成:工藤 晋)
ながしま・まなみ:
2002年10月27日生まれ 兵庫県出身
栗東 高橋康之厩舎所属
2021年3月6日の小倉競馬第2Rでデビュー。
同年3月14日の中京競馬第2Rで、アクイールに騎乗して初勝利を挙げる
デビュー1年目は7勝にとどまるも、今年は、自身初となる6週連続のVを含め、ここまで21勝を挙げるなど、急成長を遂げている。
キャプテン渡辺:1975年10月生まれ。お笑い芸人。競馬、競輪、パチンコ、パチスロは趣味の域を超えていまや生活の一部に。特技は関節技。現在テレビ東京系列で放送中の『ウイニング競馬』にレギュラー出演中。YouTubeで競馬予想更新中。