ゲスト 古川 奈穂 騎手

02. 凹まず、落ち込まず… 前だけを向いて頑張ります!

凹まず、落ち込まず… 前だけを向いて頑張ります!
師匠・矢作芳人調教師の叱咤・激励と、兄弟子・坂井瑠星騎手のアドバイスを受けながら、一歩ずつ前に進んできた古川奈穂騎手。後編は、ジョッキーを目指したきっかけ。競馬学校時代の苦い思い出。そして、最後は――古川奈穂、試練の5番勝負!! 勝つのは、キャプテン渡辺か!? それとも、古川奈穂騎手か?

人はそれを運命と呼ぶ

――インタビューも、2コーナーを回って向正面に突入! まずは、競馬に興味を持つきっかけから教えてください。

古川小学校6年生の時、たまたま家にいて、なんとなく、テレビをつけたらそれが競馬中継で。馬の走る姿に魅了されたのが始まりです。

――たまたま? なんとなく?

古川はい。本当に、たまたまで、何となく、です。

――なるほど、でも、人はそれを運命と呼びます(笑)。

古川でも…そうかもしれないです。

――その時のレースを覚えています?

古川ゴールドシップが勝った有馬記念です。

――おーっ! 前走、菊花賞を勝って、その勢いのまま古馬に挑んだ暮れの祭典…3コーナー手前あたりから、得意のマクリ戦法で、直線、突き抜けたレース、あの有馬記念だ。

古川ゴールドシップ、オーシャンブルー、ルーラーシップ……カタカナで表記された名前がずらりと並んでいて。 えっ!? なにこれ? かっこいい! と。
あっという間に虜になっていました(笑)。

――そこからは競馬一筋?

古川はい! 両親にお願いして競馬場に連れて行ってもらって。パドックの最前列で写真を撮ったり、レースを見たり…中学の3年間は、趣味は競馬ですと胸を張れるほど、競馬に夢中になっていました。

――連れて行ってもらっていたのは、阪神!? それとも京都?

古川いいえ。実家が東京競馬場と中山競馬場の中間あたりだったので、その時、開催されていた方です。

――えっ!? 東京…なの? 所属が栗東の矢作厩舎だから、てっきり、関西出身なんだと思っていたけど…そうかぁ。

古川そうなんです。同級生はみんな東京なので、休みがあっても、一緒に出かける友達もいなくて。一度夏に、同窓会があったんですけど、私はその時期、北海道で。悔しかったので、みんなに見せつけてやろうと馬と一緒に、スマホのビデオ通話で参加しました(笑)。

――友達は、古川騎手がジョッキーになりたいって言い出したときは驚いたでしょう?

古川中高一貫の学校だったので、みんな、私が中学のときから競馬を好きなのは知っていたんですけど、競馬学校を受験するのは内緒にしていて。合格してから伝えたので、みんな、びっくりしていましたね。

――ご両親は? 反対しなかった?

古川反対はされなかったです。競馬学校の倍率が高いのは両親も知っていて。今にして思うと、まさか合格するとは思っていなかったのかなと。多分、きっと…いや、絶対、落ちると思っていたんじゃないかと(笑)。

――ジョッキー以外の選択肢はなかった?

古川中学生の頃は、獣医師か、JRAの職員になりたいと思っていたんですけど、高校に進学して、まず、私は理系向きの人間じゃないということに気づいて(苦笑)。

全身を使った呼吸?

――いきなり、獣医師という道は消えたわけですね。

古川そうなんです。で、う〜〜〜んと、考え出したちょうどその時、藤田菜七子先輩がデビューされて、それがすごくかっこよくて。女性でもジョッキーになれるんだと知ったときには、もう、思いは止められませんでした。

――競馬学校は大変だったでしょう?

古川そうですね。同期はみんな乗馬経験が豊富だったので、最初から大きな差は感じていました。とにかく数多く乗って、みんなに追いつきたいけど、乗れる時間は限られていて。
その分、筋トレを頑張ったんですけど、途中、左肩を手術したことで進級試験を受けられずに留年。いいことも、そうじゃないことも含めて、競馬学校の4年間で、たくさんの経験をさせてもらいました。

――同期は?

古川卒業時は37期生で、栗東は、まなみちゃん(永島まなみ)、小沢(大仁)君、角田(大和)君、松本(大輝)君。美浦は、永野(猛蔵)君、横山(琉人)君です。

――同期はみんな仲がいい?

古川コロナ禍ということもあって、卒業してからみんなで会う機会はまだないんですが、グループラインがあって、誰かが勝った時は、みんなで、“おめでとう!”を言い合ったり、馬のことを聞き合ったりしています。

――休みの日はどうしているの?

古川去年、手術してくださった病院で肩のリハビリか、池添(謙一)先輩がインスタで紹介していた京都のYAGI SPORTS GYMに行くことが多いです。

――ジムは筋力トレーニング?

古川体幹トレーニングです。
まず、全身を使って呼吸するところから始めて、呼吸で血流を良くし、そこから本格的な体幹トレーニングに入るんですけど、バランスを保ちながら目線を変えたり、いろんな体勢から力を出したり…と、競技に特化した、より実践的なトレーニング方法を教えていただいています。

――呼吸…ですか?

古川やってみるとわかるんですが、普段は、意外なほど全身を使った呼吸というのをしていなくて。真剣にこのトレーニングをしていると、呼吸だけで汗ばんでくるほどなんです。キャプテンさんも一度、やってみてください。いい汗がかけますよ(笑)。

――いや…そういうのはジョッキーの方たちにお任せして…僕は馬券で勝負します(笑)。

古川そう言わずに、ぜひ!

試練の5番勝負

――いや、いや(苦笑)。オレがペースを握っていたはずなのに、なんか、中盤から、ゴールドシップ級のマクリで並ばれたような感じだけど。勝負は最後の直線! ここからは、古川奈穂騎手に直撃! 試練の5番勝負です。

古川ムチを入れて頑張ります(笑)。

――それでは最初の質問です。よく見るテレビ番組はなんですか。

古川見たいドラマがあるときは録画して見ることもありますが…バラエティも含めて、最近はあまりみていないです。

――YouTubeは?

古川たまに、ですけど、見ます。最近のお気に入りは、農林水産省の『BUZZMAFF(ばずまふ)』です。

――農林水産省…ですか?

古川はい。海軍カレーを食べに行ったり、牛の品評会に行ったり…とにかく面白いんです。一度、キャプテンさんも見てください。絶対にハマりますから。

――どこか変わっている騎手だなぁと思っていたけど、本当に変わってるんだ(笑)。いやぁ、びっくりです。

古川えっ!? そうですか? 私は、普通だと思いますけど。

――その判断はこのインタビューを読んでくれた人にお任せするとして、2つ目の質問です。好きな食べ物は?

古川さつまいもです。一番は、やきいもですけど、さつまいもを使った料理はなんでも好きです。

――マジで?

古川母の実家が、安納芋で有名な種子島で。冷凍して大量に送ってもらい、毎日のように食べています。干し芋も好きですし、ほとんど、さつまいも愛好家ですね。

――3つ目の質問は…結婚です!

古川いつかは…という漠然としたものはあるし、年相応の女子力は身につけたいなぁという思いもありますが…。今は競馬のことで頭がいっぱいで。結婚は、遠い、遠い、将来ですね(笑)。

――4つ目は、目標とするジョッキーは?

古川目標とするジョッキーは、ふたりいて。ひとりは、武豊騎手です。もうすべてがかっこよすぎて。一歩…いや、半歩…1ミリでもいいから近づけるように、努力あるのみです。

――もうひとりは?

古川キャプテンさんも、今年、グイグイきているとおっしゃっていた。兄弟子の坂井瑠星騎手です。

――尊敬する調教師は?

古川矢作芳人先生です!

――だよね。矢作先生以外の名前を出した、ぶっ飛ばされちゃうもんね(笑)。

古川そんなことはないと思いますけど。「技術的なことは先輩たちに訊け」とおっしゃっていて、その他色々な面でサポートして頂いているので感謝しかありません。私自身が力をつけないといけないし、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと――上手くならなきゃいけないと思います。

――その意気だ! 頑張れ、古川奈穂!!

古川はい、頑張ります!

――さぁ、それでは、いよいよ、ラスト! 最後の質問は、来年の目標です。

古川目の前のレース、ひとつ、ひとつを大事にして、きちんと結果を出すことです。31勝すればGⅠに騎乗できる資格は得られますが、それは資格を得られるというだけのことなので、目標は3キロ減になる51勝。そして、2キロ減の101勝! どんなときでも、凹まず、落ち込まず、前だけを向いて頑張ります!

(構成:工藤 晋)

ふるかわ・なほ
2000年9月13日生まれ 東京都出身
栗東 矢作芳人厩舎所属
2021年3月6日 阪神競馬1Rでデビュー。
初勝利は、3月13日の阪神6R(パートナーはバスラットレオン)。
初勝利から4週連続で勝利を挙げたものの、左肩に違和感を感じ、その後手術。5ヶ月にも及ぶリハビリを経て、10月9日の阪神2Rで復帰。1年目は7勝、2年目となる今年は、ここまで10勝を挙げている。

キャプテン渡辺:1975年10月生まれ。お笑い芸人。競馬、競輪、パチンコ、パチスロは趣味の域を超えていまや生活の一部に。特技は関節技。現在テレビ東京系列で放送中の『ウイニング競馬』にレギュラー出演中。YouTubeで競馬予想更新中

※この記事は 2022年12月9日 に公開されました。
岡田スタッド代表取締役 ノルマンディーサラブレッドレーシング代表取締役 岡田 将一 さん
白老ファーム 細田 直裕 さん
ノーザンファーム顧問 中尾 義信 さん
菱田 裕二 騎手
黒岩 悠 騎手
中野 栄治 さん
佐藤 伝二 さん、佐藤 万寿雄 さん
長谷川 雄啓 さん
団野 大成 騎手
JRA競馬学校 小林 淳一 教官・阿部 尊留 教官
吉田 豊 騎手
武 豊 騎手
福永 祐一 騎手
石川 裕紀人 騎手
永島 まなみ 騎手
古川 奈穂 騎手
おがわじゅり さん
丸田恭介 騎手
栗田徹 調教師
チャクイウ・ホー騎手
ミカエル・ミシェル騎手
今村聖奈 騎手
山田弘オーナー
小堺翔太 さん
早見和真 さん
金子光希 騎手
畠山吉宏 調教師
弥永明郎さん
山本潤 さん
大塚海渡 騎手・小林凌大 騎手・菅原明良 騎手
小手川準 調教師・深山雅史 調教師・宮田敬介 調教師
DMMドリームクラブ 野本 巧 取締役
松岡正海 騎手
田中歩 さん
大竹正博 調教師
萩原清 調教師
五十嵐雄祐 騎手
国枝栄 調教師
木村哲也 調教師
手塚貴久 調教師
稲垣幸雄 調教師・加藤士津八 調教師
藤田菜七子 騎手
カンニング竹山 さん
山田敬士 騎手
戸崎圭太 騎手
加藤征弘 調教師
内田博幸 騎手
石橋脩 騎手
(株)G1レーシング 吉田正志代表
尾関知人 調教師
東京サラブレッドクラブ 西川哲社長
木幡育也 騎手・武藤雅 騎手・横山武史 騎手
田中博康 調教師・林徹 調教師・和田勇介 調教師
藤澤和雄 調教師
菊沢隆徳 調教師
(有)サンデーレーシング 吉田俊介代表
ゴルゴ松本さん
松木安太郎さん
山田弘オーナー
西川賢会長 x 里見治オーナー

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