きょうの蹄音競馬にまつわるちょっといい話

2010.10.15

ようこそいらっしゃいませ。

オーナーブリーダーのお話をしています。馬主にして生産者という贅沢な存在には、牧場経営からオーナーになるケースとオーナーから出発して牧場を手に入れるケースがあります。しかしよく考えるともうひとつのパターンがあります。

古くから“子分け”と呼ばれている制度です。牝馬のオーナーが繁殖牝馬となった所有馬を牧場に預け、その産駒を引き取りオーナーとなる事例です。現代風にいえば“ファブレス・ブリーダー”でしょうか。ある商品やサービスの企画開発だけを手がけ、製造は専門家に任せてしまうビジネス手法のことです。

オーナー側には牧場を持つというリスクも手間もいりません。牧場側には預託料など安定した収入が約束されます。欲をいえばキリがありませんが、サラブレッドを愛する人々が生み出した知恵だと思います。

このシステムの最大の成功例がホワイトナルビーです。オグリキャップのお母さんですね。彼女は笠松競馬の馬主だった小栗孝一さんに買われ、笠松の競走馬として4勝をあげた後、稲葉牧場に預けられます。

彼女は非常に優秀な繁殖牝馬で14年間の繁殖生活中に実に13頭の産駒をもうけます。13頭の父がそれぞれ違うのもちょっとビックリです。さらに驚異的なのはその全馬が勝ち上がったという事実です。中央と地方で走り13頭の合計勝ち鞍は118勝、ギネスものの大偉業ではないでしょうか。すべての産駒が小栗さんの名義で走ったのは無論です。

オグリキャップの現役時に中央の馬主資格を持たなかったため、G1馬オーナーの栄誉に浴せなかったのはお気の毒でしたが、オグリローマンの桜花賞では胸をはって口取りができました。なによりでした。改めてお慶び申し上げます。

オーナーの競馬への情熱と愛情があったからこそ成就したホワイトナルビーとオグリ一族の物語、いつまでも伝えていきたいと思います。