きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

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セレクトセール2日目は当歳馬のセリ市が行われ、ディープインパクトの半弟に注目が集まりました。ご承知のように2億5000万円のトッププライスがついたのですが、いろんな意味で話題になっています。

ウインドインハーヘアの2011は母20歳時の産駒になります。そんな高齢出産で大丈夫なのって声も聞こえてきそうですが、世界には母が高齢の産駒がけっこう走っています。

一昨年の世界チャンピオン・シーザスターズは、名牝アーバンシー17歳のときに授かった産駒です。今年のオークス馬エリンコートも母エリンバード17歳のときの仔。母系をさかのぼるとダービー馬フサイチコンコルドの母であり、皐月賞馬アンライバルドを18歳で産んだバレークイーンもこの一族。息長く活躍したタップダンスシチーが生まれたのは母19才でした。

どの母馬も実績馬だったり血統馬ばかりです。そもそも繁殖牝馬は早い時期に走る仔を出さないと見切られたり、配合相手の質を落とされたり生き残るのが難しい世界です。DNAの活力とか生物学的なことは分かりませんが、高齢まで現役として繁殖を続けられるのは優秀さの証明でしょう。

でも、さすがに20歳となるとどうなんでしょうか?ダララという1983年生まれの牝馬がいます。今年28歳になります。モハメド殿下の愛馬でヴァルメイユ賞に勝った一流馬です。半兄にアガ・カーン殿下のダルシャーンがいる良血でもあります。

競走馬として一流だった彼女は繁殖としてもっと素晴らしく、22歳でダーレミを産んでいます。昨年のドバイシーマクラシックでブエナビスタを負かした馬です。それにとどまらず24歳のときに産んだのがリワイルディングです。

姉に続いて今年のドバイシーマクラシックを姉弟連覇し、先月のロイヤルアスコットのプリンスオブウェールズSでは、とても届かない位置からデットーリ騎手の鞭の連打に応えて強豪ソーユーシンクを差し切り凱旋門賞の有力候補に躍り出ました。デットーリ騎手は鞭の回数制限違反で騎乗停止を食らいましたが、世界の名手を本気にさせる何かを持っている馬なのでしょう。

ウインドインハーヘアの2011は父のネオユニヴァース自身も、母ポインテッドパスが16歳とかなり遅めの仔でした。無事に成長してファンを喜ばせてほしいと願っています。

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