きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

女王陛下のレガシー

9月23日は、荻野 極 騎手、青木 孝文 調教師の誕生日です。誕生日おめでとうございます!
ようこそいらっしゃいませ。

エリザベス女王との国民を挙げての荘厳にして感動的なお別れが、随分と遥かな思い出のように懐かしくも感じられますが、実はまだ1週間もたっていません。今、世界中で多くの人々が「クイーン・ロス」を現実のものとまだ受け止められず、少なからぬ空虚感を味わっています。女王の存在が、広範な分野にわたって比べようもないほど大きく重かっただけに、その喪失感はポッカリと空いた底の見えない空洞のように深いものがあります。王権はチャールズ3世が継承されて、母国イギリス並びにイギリス連邦の国民の絆を束ねる象徴として、「クイーンからキングへ」の代替わりを立派に勤め上げていくのでしょう。しかし女王がかけがえのない存在として、女王でなくてはならない分野もありそうです。直ぐに追いつくのは競馬の世界でしょうか?

ロイヤルアスコットのオーナーとして、個人馬主として、余人には真似のできない偉大なレガシー(遺産)を築き上げられました。女王でなければなし得なかった唯一無二の貢献を成し遂げた競馬界最大のパトロンであったことは疑いがありません。また「レーシング・ポスト」を毎日熟読する“無類の競馬好き”として、そのライフスタイルが人々をどれほど和ませたことか。それが競馬のイメージを大きく羽ばたかせ、競馬に寛容な社会を醸成し、競馬の健全な成長というレガシーを生み出してくれたことか。感謝しかありません。競馬発祥の地イギリスに女王がお生まれになったことを幸せに思い、再び三度、感謝をお伝えするしかありません。

イギリス人はこれから生まれてくる王子や王女の性別から、果ては明日のお天気まで賭けの対象にするほど、何であれ楽しみに変えてしまうエンターテイメント好きであり、もともと好奇心が旺盛なのか、良い意味で“詮索好き”な国民性を備えてるようです。下世話な興味本位の記事満載のタブロイド紙とか王室ジャーナリズムが確立されたのも、そうした背景からでしょうか?女王の偉大なレガシーの継承者を巡っては、莫大な遺産相続に始まって競馬レガシーに至るまでの“継承ドラマ”が盛んに取り上げられているようです。競馬界にとっては非常に重大な問題なのですが、ロイヤルアスコットは女王が欠席された今年はキャサリン皇太子妃が代役をお勤めされたように、王室を挙げて全力で取り組まれるのでしょう。一方で個人馬主としての“女王レガシー”継承者にはカラミ王妃の名前が上がっているようです。王妃は女王と共通の趣味として長年にわたり楽しまれて来た“競馬好き”で、チャールズ国王と共同名義で馬主デビューも果たしています。新国王は馬好きは馬好きでもポロの方に熱心なようで、ご夫妻で手分けして女王の偉大なレガシーをシッカリと受け止め、さらに発展させてくれるのでしょう。“競馬好き”ファミリーに、陰ながら心からのエールを送りたいと思います。

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