きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

天才騎手の予言

9月2日は、水沼 元輝 騎手、池添 学 調教師、畠山 吉宏 調教師の誕生日です。誕生日おめでとうございます!
ようこそいらっしゃいませ。

既にマイルG1を5勝、先月のインターナショナルSを圧勝して中距離G1の領域にも蹄跡を残して二階級制覇を果たしている10戦10勝のバーイードが、凱旋門賞挑戦の意向を表明して三階級王者に目標を定めました。同じく不敗の14戦14勝を飾りG1は10勝を挙げている怪物フランケルは、二階級王者に留まっていますから、それを超えるにはこの道しかないという選択だったのでしょうか?

抑えるのに四苦八苦するほどスピードの勝ったタイプだったフランケルに比べると、バーイードは血統面の裏付けはもちろん、気性的にも自在の操縦性を備えており、2400mを我がものにする可能性は十分すぎるほどでしょう。しかし、と懸念を指摘する専門家もいます。かつて2000年代の初頭にハリケーンランとディラントーマスで凱旋門賞を勝っているキーレン・ファロンさんがその人です。彼はイギリスのリーディングジョッキーに6度も輝き、“天才”の呼び名をほしいままにした腕達者です。その名手によれば、バーイードはすべての点で凱旋門賞馬に君臨する資格を備えているが、ただ一つ、凱旋門賞を目標に調教されて来なかったのが盲点だそうです。

確かにデビュー以来、マイル戦ばかりを専門に使われ、ようやく前走で中距離を克服しましたが、最終目標は同じ10ハロンの英チャンピオンSとされていました。ファロンさんはハリケーンランで凱旋門賞8勝とケタ違いの実績を誇るアンドレ・ファーブル師、ディラントーマスで世界を股にかけるエイダン・オブライエン師と歴史的名伯楽とともに考え・行動し、凱旋門賞への準備の重ね方を体に染み込ませています。調教の大事さを改めて思い知らされます。この人に言われると、日本馬が勝てそうで勝てない凱旋門賞の難易度の高さが納得できる気もします。さて、名手の“予言”にバーイードはどう答えるのか?解答は後1カ月で明かされます。

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