きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

競馬の春来たる

ようこそいらっしゃいませ。

オミクロン株の急速な拡大と蔓延に気が重くなりますが、競馬界では前向きな姿勢が目立つこの頃で、その点に一筋の光明を見いだせるのは有り難いですね。ご承知のように、競馬大国アメリカの頂上決戦ブリーダーズカップ(BC)シリーズで歴史的な大金星を挙げたマルシュロレーヌ(BCディスタフ)とラヴズオンリーユー(BCフィリー&メアターフ)の矢作芳人厩舎2頭が、サラブレッドにとって最高勲章の一つであるエクリプス賞のファイナリストにノミネートされました。日本のサラブレッド、そしてホースマンも大したものですね。今や世界に肩を並べて五角の戦いを見せてくれるまでに大きく成長しました。誇らしい気持ちでいっぱいです。

さてラヴズオンリーユーは、2月10日のエクリプス賞発表を待たないで、今月末にオークスを無敗で制した思い出深い東京競馬場で引退式を予定しています。日本、香港、アメリカと3カ国でG1を制した超一流馬で、父ディープインパクト・母ラヴズオンリーミーの血統も世界のどこに出しても胸を張れる超一級品です。素晴らしい子供たちを贈り届けてくれるでしょう。今から楽しみでなりません。一方のマルシュロレーヌも引退が決まっていますが、ラストランにもう一走、世界の強豪が集結する世界最高賞金レースのサウジカップに出走するようです。総賞金2000万ドル≒23億円、1着賞金1000万ドル≒11億5000万円をめぐる“ガチバトル”。世界中から強豪が続々と参集しています。ダート女王を戴冠したマルシュにも骨の折れる仕事になりそうですが、華麗な走りで花道を飾ってほしいものです。

サウジカップには、昨暮のチャンピオンズCを勝って優先出走権をゲットしたテーオーケインズも堂々出陣します。同日に準備されたアンダーカードにも日本調教馬がこぞって出走するようですから、昨年同様に“日の丸ラッシュ”が見られるかもしれません。これまで長い間、芝に比べてダートは見劣りすると酷評されてきた日本調教馬ですが、気がついてみれば世界のテッペンで戦える時代がすぐそこに来ているようです。牧場・厩舎を問わず日本サラブレッドのレベル向上に精進されてこられたホースマンの皆さまに、改めて心からの敬意と深い感謝が捧げます。サウジの翌月にはドバイが待っています。オミクロンの包囲網を突破して、競馬の春はもうすぐそこにやって来ようとしています。

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