きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

ダート競馬の高揚と悲哀

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総額2000万ドル≒23億円と賞金世界一レースとして定着して来たサウジカップをメインに挙行されるサウジカップデーの登録メンバーが発表されました。去年までは創立間もないためグレード未格付けだったのですが、コロナ禍にあってもシッカリと開催が続けられ、出走馬のレベルも安定して高いことなどから、サウジカップは晴れてG1に格付けされ名実ともに世界を代表するビッグレースの一つとして認定されました。同時に併催されるアンダーカード群も、それぞれG3に格付けされています。いずれ実績を積みながら、G2さらにはG1への昇格を目指すんでしょうね。2月のサウジアラビア、3月のドバイと世界競馬の春は中東から幕を開けることになります。

さて、注目の登録メンバーですが、世界中から優秀なサラブレッドが大挙してサウジのキングアブドゥルアジーズ競馬場を目指します。サウジカップは日本調教馬12頭を含めて152頭もの精鋭がエントリーしました。昨年の覇者ミシュリフが連覇を狙うほかハイレベルなメンバーが1着賞金1000万ドル≒11億5000万円と一攫千金の野望に燃えています。日本馬はチャンピオンズC王者で最優秀ダートホースに選ばれたテーオーケインズ、ダートの本場アメリカの最高峰レースの一つBCディスタフで世紀のジャイアントキリング(大物喰い)を果たしたマルシェロレーヌ、昨年もここからドバイへ転戦しドバイワールドカップ2着の銀星に輝いたチュウワウィザードなどがチャレンジします。さらに賑やかなのがG3サウジダービーです。日本調教馬35頭もビックリですが、全体で登録馬339頭という大盛況はギョウテンさせられます。

こうした“登録ラッシュ”の背景には、飛び抜けた破格賞金の存在があるのは無論でしょうが、いわゆる“アゴアシ付き”の招待レースの上、サウジカップなどは10着でも20万ドル≒2300万円と手厚い賞金が準備されています。言葉が下品で申し訳ないないのですが、“至れり尽くせりのオモテナシ”も参戦モチベーションの世界的広がりに貢献しているのでしょう。さらに、とくにこの時季の日本のダートホースには十分な供給がなされているとは言えない番組編成の貧困が横たわっています。もともと交流重賞など地方頼みの情況から脱せないのですが、上級馬ほど除外リスクも大き苦なるため、出走機会を求めて地方転厩に踏み切る馬が後を断ちません。サウジアラビアやドバイの賑わいはご同慶の至りですが、競馬繁栄の裏側に潜む課題改革への本質的アプローチも忘れられません。

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