きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

ロード・トゥ・ザ・ケンタッキーダービー開幕

9月24日は、清水 英克 調教師の誕生日です。誕生日おめでとうございます!
ようこそいらっしゃいませ。

毎年9月中旬、ケンタッキーダービーの“聖地”チャーチルダウンズ競馬場では、翌年の夢舞台を目指す「ロード・トゥ・ザ・ケンタッキーダービー」シリーズの開幕戦であるG3イロコイSが行われます。世代の頂点への第一歩を記すにふさわしい「チャーチルダウンズからチャーチルダウンズへ」という粋な発想ですね。ここから戦いはアメリカ全土の各地は言うに及ばず、ドバイ、ヨーロッパ、日本など世界へと広げられ、実力と幸運とをともに味方にして勝ち残った精鋭20頭が、翌年5月の第1土曜日にチャーチルダウンズに集結してハルマゲドン(最終戦)の幕を切って落とします。「ロード・トゥ・ザ・ケンタッキーダービー」は、こうした“狭き門”への道筋を分かりやすく公正なものとするために10年ほど前から試みられ、今では世界のホースマンたちには欠かせない風物詩として定着しています。

日本ラウンドは、ご承知のように11月下旬東京のOPカトレヤS(昨年まで1勝クラスのカトレヤ賞)でスタートし、12月中旬川崎のG1全日本2歳優駿、年が明けて来年2月のフェブラリーS当日の東京で行われるリステッド格付けのヒヤシンスS、4月上旬の中山のOP伏竜Sで最終戦を迎えます。日本ラウンドに振り当てられた優先出走権は、4戦の合計ポイントがもっとも多く、かつダービー登録のある馬に与えられます。16年にラニは、カトレヤ賞は勝ったもののヒヤシンスSでポイントを加算できず、ドバイに飛んで“勝てば当確”の100ポイントレースであるG2UAEダービーのワンチャンスに賭け、晴れて“チャーチルダウンズ切符”を獲得、ケンタッキーダービー9着・プリークネスS5着・ベルモントS3着と本場の馬にも困難とされる三冠皆勤を達成しています。偉業だと思います。しかも日本調教馬には、ヨーロッパの芝のレースを勝つ以上に難しいと言われるアメリカのダートクラシックで、慣れるに連れ結果も尻上がりとなったのは、本当に立派な仕事を成し遂げたものです。日本馬にもチャンスがないわけでないのを証明してくれました。

ただ大方のファンの願いは、ドバイ経由といった変速ルートも悪くはないのですが、今年こそ日本ラウンドの熱い戦いの中から“日の丸代表”が出現することでしょうか?今年のケンタッキーダービーはボブ・バファート厩舎のメディアスピリットが勝ったのですが、“薬物疑惑”による失格騒動に決着がまだつかない内にイロコイSを迎えてしまい、どことなくモヤモヤした気分も残っているのですが、一点の曇りない透き通ったチャーチルダウンズの空の下で、“日の丸代表”も含めて正々堂々のケンタッキーダービーになることを祈りたいと思います。

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