きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

挑戦と高まる緊張感と

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夏の札幌競馬場・札幌記念に俄然注目が集まっています。ときにゴールドシップvsハープスター。ときにアドマイヤムーン、テイエムオーシャン、ファインモーション、セイウンスカイ、エアグルーヴなどの名馬が秋へ向けて出走。王者の王道への蹄音に、真夏の札幌が揺れてきました。今年の札幌記念にはマイル王のモーリスが出走。距離を伸ばしての出走に、過去どのレースにも勝るとも劣らず、非常に緊張感に包まれた札幌記念となっています。

モーリスが距離1600m以上を走ったことは、これまで4度あります。3歳時のスプリングステークス(1800m)、京都新聞杯(2200m)、白百合ステークス(1800m)、そして連勝街道を歩み始めて間もない4歳春のスピカステークス(1800m)の4戦です。3歳時はいずれも力を出しきれずでしたが、4歳春のスピカステークスでは後方から鬼脚を使い先行馬を飲み込む形で勝利を収めて、以後マイルの王者の道を歩んでいきました。

マイルG1から距離2000mへの挑戦というと、1990年代後半ではエアジハード、2000年代ではアグネスデジタルを思い出します。エアジハードは春の安田記念で大本命のグラスワンダーを破り、秋にこれまで走ったことがなかった2000mの天皇賞(秋)に出走。スペシャルウィーク、セイウンスカイ、メジロブライト、ステイゴールドら強豪相手に果敢に挑み、3着に入る走りで勇敢な姿を見せました。もっと驚いたのが2001年の天皇賞(秋)に出走したアグネスデジタルでした。芝にダートにマイルを路線を歩んでいたアグネスデジタルが、当時2枠しかなかった外国馬への出走権をめぐり期待を集めていたクロフネをはねのけて出走。テイエムオペラオーを撃破し、さらには暮れの香港カップ(芝2000m)をも勝利を手にしました。

モーリスはこれまでマイル絶対王者として君臨しているだけに、また状況は異なるかと思います。怪物の新たな章の始まり。王者がこうして新しい舞台へと挑戦することは、非常に胸が高鳴ります。

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