きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

スプリンターに福音【前】

ようこそいらっしゃいませ。

早いもので1月足らずでロイヤルアスコットが開幕します。日本から遠征する天皇賞馬スピルバーグが欧州一線級に挑むG1プリンスオブウェールズSも興味深いのですが、今年の目玉は新設G1のコモンウェルスCかもしれません。3歳限定の1200mスプリント戦です。
向こうではスプリント、マイル、中距離、長距離、超長距離とカテゴリー毎に季節毎馬齢別牡牝別のきめ細かな番組編成が充実しているのですが、なぜか3歳春の短距離戦は手薄なままでした。この開催からキングズスタンドS1000m、ダイヤモンドジュビリーS1200mは3歳馬にも開放されるのですが、4歳以上59キロ、3歳56キロと斤量的な恩典は大きいと言えません。3歳スプリンターは敢えてマイル路線に挑戦するか、一息入れるしか選択肢がない現実がありました。

やっとと言うべきか、不遇だった若きスプリンターたちに晴れ舞台が準備されました。コモンウェルスCがそれです。コモンウェルスとはイギリス連邦を現します。今回の参戦は見送られたようですが、スプリント王国オーストラリアや香港はもちろんその一員です。連邦50カ国・地域を集めたコモンウェルスゲームズという盛大なスポーツ大会も80年以上続いており、新設G1はその競馬版というコンセプトなのでしょう。女王陛下が臨席されるロイヤルアスコットは連邦国の人々にとっても願ってもない場。最初から国際規模のG1を想定した見事な企画です。

例年だとこの時期には2歳時に大活躍したスピード馬も急に影が薄くなってしまうのですが、今年は皆んな元気ですね。6Fが限界と思われていた2歳戦トップクラスの牡馬イヴァウッド、牝馬ティギーウィギーはマイルのギニー挑戦でともに3着と大健闘しています。馬を生かすも矯めるも番組編成一つということなのでしょうか。馬自身もそうですが、カテゴリーの垣根を越えて競馬全体が元気になる効果も確かに出ているようです。向こう岸の出来事で済ませないで日本競馬のあり方にまで翻って考えてみたい話です。

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