きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

スプリンターに福音【後】

ようこそいらっしゃいませ。

昨日もお伝えしたように、世界に点在するイギリス連邦53カ国・地域のアスリートを集めたコモンウェルスゲームズは1930年のカナダ・フレミントンに始まって、2018年にはオーストラリア・ゴールドコーストで開催されます。政治的経済的な経緯は別にして、建前上はエリザベス女王に忠誠を誓う人々のスポーツの祭典です。この理念を受け継いだのかどうか、今年から創設された新G1は競馬の祭典ロイヤルアスコットを舞台にコモンウェルスCと命名されました。連邦仲間のスプリント王国オーストラリア・香港などからの参戦にも期待して手薄だった3歳スプリント戦線の充実強化、その波及効果による競馬全体の活性化を図ろうというコンセプトでしょうか。

南半球勢の遠征はハードルも高いのですが、3年前にオーストラリアの不敗の快速娘ブラックキャビアがやって来たときの盛り上がりは忘れられません。フランケルとの対決が実現したらという条件で目の玉が飛び出るような高額賞金が用意されたりもしました。それ以前にもオーストラリア勢はショワジール、スータースパングルドバナー親子がゴールデンジュビリーSを制覇して本国のホースマンを驚かせました。ゴールデンジュビリーSは女王の王位襲名50周年を記念して創設され、60周年を迎えたブラックキャビアの年からダイヤモンドジュビリーSと改名されたロイヤルアスコットの華で非常に人気の高いG1です。レース名は50周年で金婚式、60周年でダイヤモンド婚式を由来としているのでしょうが、日本でもお馴染みの考え方が向こうにも根付いているのには驚きました。

今回はオーストラリアからの遠征はないようですが、スータースパングルドバナーの初年度産駒ジワォシグナルとアンセムアレクサンダーという牡牝の2歳チャンピオンがここ一本に的を絞って挑戦してきます。この世代の活躍で種牡馬になって1年で現役復帰したスータースパングルドバナーが種牡馬カムバックを果たした波瀾万丈の物語を親子孫の三世代制覇で飾れると良いですね。アメリカからやって来るBCジュベナイルターフ馬ホーテナニーもアスコットは得意としており注目されそうです。5戦5勝の新星リマトのG1初挑戦からも目が離せません。《良い馬が良いレースを創り、良いレースが良い馬を創る》そんな良き伝統がロイヤルアスコットに刻まれることを期待しましょう。

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