きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

ラストダンスを日本で

12月30日は、大竹 正博 調教師の誕生日です。誕生日おめでとうございます!
クリスマス明けのサンタアニタ競馬場は、シーザリオが勝って日本でも有名なアメリカンオークス、来春ケンタッキーオークスへの一里塚ラブレアSなどG1が3レース、ドバイワールドC王者のカントリーグラマーなど正真正銘の実力派も参戦するスペシャルなG2が3レースと豪華絢爛な番組がズラリと並びます。今シーズンの締め括り開催というより、新たなスター候補を発見する来季へのプロローグといったワクワク感が湧き上がります。中でもG1マリブSは、新しい年のヒーローがここから雄叫びを上げるシーンが目立ちます。昨年は、“超怪物”フライトラインがここで覚醒して11馬身半差の圧勝でG1デビュー。続くメトロポリタンHが6馬身差、パシフィッククラシックSの19馬身余と歴史的大差、頂上戦のBCクラシックも8.25馬身と強豪連中を手玉に取ってアメリカ競馬の歴史を塗り替えています。また日本で新種牡馬チャンピオンに輝いたマインドユアビスケッツも、元はと言えばマリブSで初G1をゲットした勢いで、ドバイゴールデンシャヒーンを連覇したのが社台ファームの目に止まったのが出世のキッカケでした。種付料も来季は倍増の400万円と高い評価を受け、少し下降気味だった種付頭数も上向きに転じて、芝砂を問わない器用なレースぶりに磨きがかかりそうです。

そうした近年のトレンドに加えて、今年はビッグなサプライズがサンタアニタに舞い降りました。「フランキー」の愛称で親しまれるランフランコ・デットーリ騎手がやって来たからです。ご存じのようにデットーリ騎手は来季いっぱいで現役引退を決意し、今後は世界各地を巡って“感謝のラストダンス”行脚に心を砕くそうです。今回のサンタアニタ遠征はその第1弾ということでしょう。前出のカントリーグラマーは、G2サンアントニオSを4馬身半差の楽勝でドバイ連覇に好発進を決めました。レース後にはデットーリ騎手の代名詞ともなっている「フライングディスマウント」を決めてファンから喝采を浴びています。いったん馬上に立ち上がって、宙高く飛び、万歳ポーズで舞い降りる大人気のパフォーマンスです。ドバイのメイダン競馬場でも見られるとファンは大喜びでしょうね。

デットーリ騎手の今後はヨーロッパを中心に騎乗を続け、来年11月に今回と同じサンタアニタで行われるブリーダーズカップ開催を“ラストダンス”の舞台と決めているそうです。これは変えられないとしても、デットーリ騎手の最後の“晴れ姿”を日本でも見たいですね。難しいでしょうが、それが中山競馬場であれば最高です。デットーリ騎手は、たった1回だけ行われた中山開催のジャパンCデーにやって来てくれました。もう20年前の2002年のことですが、まず土曜開催のジャパンCダートで5番人気のイーグルカフェに騎乗し、NHKマイルCなど芝にしか実績のなかった彼を勝利に導きます。先日のチャンピオンズCのジュンライトボルト、昨日の東京大賞典のウシュバテソーロと芝馬のダート大レース制覇が目立ちますが、デットーリとイーグルカフェはその先駆けでした。さらに翌日の芝2200mのジャパンCは9番人気のファルブラヴを導いてゴール前のハナ+クビの激戦を断ち切ります。ジャパンCはファルブラヴを含めてシングスピール、アルカセットと3勝している無敵ぶりですが、中山のデットーリの格好良さは最高でした。JRAさんが頑張ってくれるんでしょうが、日本での“ラストダンス”の実現、これを初夢に見ることにします。

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