きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

歌人“京雅”さんからの和歌(沓冠)  アイビスサマーダッシュ

先週より開幕した夏の新潟開催。その開幕を盛り上げるのは新潟名物、千直競馬唯一の重賞・アイビスサマーダッシュ(GIII)。覆面歌人の京雅さんからは、このアイビスサマーダッシュの和歌が届きました。和歌(沓冠)に隠れたメッセージを読み解き、お楽しみください。

アイビスサマーダッシュ 京雅

信頼は
新潟の夏
さあ飛ばせ
最後に競い
群馬を撃破

隠れたメッセージは「しにささぐ はつせいは → 師に捧ぐ 初制覇」です。
信()頼は(
新()潟の夏(
さ()あ飛ばせ(
最()後に競い(
群()馬を撃破(


<京雅さんの和歌【沓冠】の解説>
開幕週の綺麗な馬場を一直線に駆け抜ける大迫力の名物レース・アイビスサマーダッシュ。最速で決着する重賞競走を制したのはビリーバーでした。
一句目「信頼は」は、ビリーバーの名前の由来からの連想。ビリーバーは3年連続で新潟の夏の名物競走に参戦。全馬一斉にスタートを切り、前がかりになるところを、ビリーバーは後方でじっくりとレース展開を見極め、末脚を温存。外埒沿いに多くの馬が集まる中、間隙を縫うようにラスト300mから追い出し開始。「さあ飛ばせ」とばかりに、一気に加速すると、前で粘るライバル達を最後にひと伸びして撃破。人馬ともに見事な重賞初制覇を飾りました。鞍上の杉原誠人騎手は藤沢和雄元調教師の定年引退に伴い、フリーに転向して一年目。結果の求められるシーズンに重賞勝利で結果を残しました。「師に捧ぐ 初制覇」、藤沢和雄元調教師も愛弟子の勝利を、きっと喜んでいるのではないでしょうか。

このレース、内と外に大きく隊列が分かれて追い比べが行われたことも話題に。内を選んだ4頭、外を選んだ14頭、軍配は外のビリーバーにあがりましたが、内を選んだ最先着は藤田菜七子騎手鞍上のスティクスでした。藤田菜七子騎手と今村聖奈騎手のJRA所属女性騎手による史上初の重賞対決としても注目を集めましたが、藤田菜七子騎手が5着、今村聖奈騎手は15着と先輩の藤田菜七子騎手が先着しました。夏の開幕週の新潟は多くの話題で盛り上がりました。


※ 【沓冠】の解説
和歌の折句の一種。意味のある10文字の語句を、各句の初め(冠)と終わり(沓)に1字ずつ詠み込んだもの。「沓」とは、体の一番下に着けるもので、「冠」とは、一番上に着けるものであることから、「沓冠」といわれる。 平安貴族の「言葉遊び」で、短歌の中に、本文とは違う言葉を忍び込ませて、和歌の表面とは違ったメッセージを密かに伝えているところが、面白いところ。

※歌人“京雅”さん
長く競馬サークルに住みついている覆面歌人。一昨年から、当協会ホームページで連載開始。渾身の一首をお届けするので皆さんも、是非、謎解きに挑戦してください。

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