きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

歌人“京雅”さんからの和歌(沓冠) 中山記念

3月3日は、萩原 清 調教師の誕生日です。誕生日おめでとうございます!
先週より春の中山開催が始まりました。この開催は桜の開花と共にクラシック皐月賞へと、競馬の熱気も開花していく開催となります。開幕週は中山伝統のGII中山記念が行われました。覆面歌人の京雅さんからは、この中山記念の和歌が届きました。是非、隠れたメッセージを読み解いてください。(メッセージの答えは最後に)

中山記念 京雅

思い出か
追われて強い
逃げてこそ
元気に走駆
伸び快速馬

隠れたメッセージは「おおにげの かいそくば → 大逃げの 快速馬」です。
思()い出か(
追()われて強い(
逃()げてこそ(
元()気に走駆(
伸()び快速馬(


<京雅さんの和歌【沓冠】の解説>
先頭の馬がゴールして、スタンドから拍手が聞こえるほど、鮮やかな逃走劇を決めたのが、中山記念を優勝したパンサラッサでした。思い出してみれば、初の重賞優勝となった福島記念も逃げて圧巻の大勝利。逃げてこそ、この馬の能力が発揮できるのでしょう。今回も、3コーナーから元気溌溂と、どんどんと後続を引き離すと、直線入り口でも2番手は遥か後方。そこから追われて粘り強く脚を伸ばして2馬身半差。快速馬がまだまだ余裕を感じる逃走劇を演出しました。「大逃げの 快速馬」次なる舞台はGIでアッと驚く快走を見せてくれるのでしょうか。次走も楽しみです。

大逃げの快速馬と聞いて、京雅さんの頭の中には、あの悲運の名馬サイレンススズカが思い出されたそうです。一句の目の「思い出か」、4句目の「元気に走駆」には、サイレンススズカが躍動した姿を、京雅さんの中で重ね合わせたのでしょう。1998年の中山記念の優勝馬はサイレンススズカ。サイレンススズカの再来かとも思わせたパンサラッサには、この後も「元気に走って欲しい」との願いが込められているのでしょうね。


※ 【沓冠】の解説
和歌の折句の一種。意味のある10文字の語句を、各句の初め(冠)と終わり(沓)に1字ずつ詠み込んだもの。「沓」とは、体の一番下に着けるもので、「冠」とは、一番上に着けるものであることから、「沓冠」といわれる。 平安貴族の「言葉遊び」で、短歌の中に、本文とは違う言葉を忍び込ませて、和歌の表面とは違ったメッセージを密かに伝えているところが、面白いところ。

※歌人“京雅”さん
長く競馬サークルに住みついている覆面歌人。一昨年から、当協会ホームページで連載開始。渾身の一首をお届けするので皆さんも、是非、謎解きに挑戦してください。

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