きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

歌人“京雅”さんからの和歌(沓冠) 東京新聞杯

2月10日は、菊沢 隆徳 調教師、牧 光二 調教師の誕生日です。誕生日おめでとうございます!
先週東京競馬場で古馬マイルGⅠに繋がる東京新聞杯(GIII)が、中京競馬場では、クラシックに向け、賞金を加算したい馬たちが集まったきさらぎ賞(GIII)が行われました。覆面歌人の京雅さんからは当協会所属、草間庸文オーナーのご愛馬イルーシヴパンサーが華麗な末脚を見せた東京新聞杯の和歌が届きました。是非、隠れたメッセージを読み解いてください。(メッセージの答えは最後に)

東京新聞杯 京雅

まず制し
いざ御して耐ゆ
ルートはや
勝てる外突く
一気にハナへ

隠れたメッセージは「まいるかい しゆやくへ → マイル界 主役へ」です。
ま()ず制し(
い()ざ御して耐ゆ(
ル()ートはや(
勝()てる外突く(
一()気にハナへ(


<京雅さんの和歌【沓冠】の解説>
33.1秒という強烈な末脚で、多くの競馬ファンに”本物”を予感させた今週の主役はイルーシヴパンサーでした。
3歳時はクラシック皐月賞(GI)にも挑戦し上位馬と揉まれ実力をつけたイルーシヴパンサー。自己条件にもどってから東京競馬場で3連勝し、再び重賞の舞台に戻ってきました。
スタート後、はやる気持ちを制し、田辺裕信騎手がイルーシヴパンサーを御して、後方で末脚を温存させます。
直線に向いて、「勝てる」と手応え抜群で、外に進路(ルート)を確保すると、そこからはこの馬の長所である切れ味抜群の末脚を存分に披露し、上述の通り33.1秒というメンバー最速の上がり、4連勝で重賞タイトルを手にしました。

東京新聞杯優勝馬は後にGⅠタイトルを制することが多い出世レース。グランアレグリアという短距離女王が引退し”今年のマイル界はこの馬が主役か!?”と予感させるような走りでした。
さて、一句目の「制し」はイルーシヴパンサーを田辺裕信騎手が制して後方待機という意味、そして2022年の初戦となったマイル重賞・東京新聞杯を文字通り「制し」て、マイル界の主役への第一歩を踏み出したという二重意味合い(掛詞)が含まれております。お気づきだったでしょうか。このような点からも和歌をお楽しみいただければと思います。


※ 【沓冠】の解説
和歌の折句の一種。意味のある10文字の語句を、各句の初め(冠)と終わり(沓)に1字ずつ詠み込んだもの。「沓」とは、体の一番下に着けるもので、「冠」とは、一番上に着けるものであることから、「沓冠」といわれる。 平安貴族の「言葉遊び」で、短歌の中に、本文とは違う言葉を忍び込ませて、和歌の表面とは違ったメッセージを密かに伝えているところが、面白いところ。

※歌人“京雅”さん
長く競馬サークルに住みついている覆面歌人。一昨年から、当協会ホームページで連載開始。渾身の一首をお届けするので皆さんも、是非、謎解きに挑戦してください。

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