きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

名牝と名伯楽の物語

ようこそいらっしゃいませ。

今朝、アメリカ西海岸のサンタアニタ競馬場から、素晴らしいニュースがもたらされました。先日のBCフィリー&メアターフを快勝した日本調教馬ラヴズオンリーユーが、アメリカ競馬の頂点を構成する人馬に贈られる伝統あるエクリプス賞の芝牝馬チャンピオン部門を晴れて受賞の運びとなったそうです。おめでとうございます。関係者の皆さま、素晴らしい仕事をありがとうございました。

地元アメリカ調教馬以外では、一番最近は2011年にフランスでデビューしてオークス、ヴェルメイユ賞などを勝っているスタセリタが受賞していますが、厳密にはチャド・ブラウン厩舎に転厩後の栄誉で北米調教馬のカテゴリーに帰属します。しかし後に怪物フランケルのG1初勝利馬かつクラシック第1号となったソウルスターリングの母となる大変な名牝だったのは疑いがありません。ラヴズオンリーユーは、正式にはその前年と前々年に受賞したフランス調教馬ゴルディコヴァ以来12年ぶりの海外調教馬ということになります。BCマイル3連覇などG1通算14勝は今もヨーロッパ記録として深く記憶されています。フレディ・ヘッド調教師の仕事でした。そのヘッド師は騎手として世紀の名牝ミエスクとの名コンビでエクリプス賞連続受賞に輝いています。ミエスクは名種牡馬キングマンボを送り出し、日本の競馬シーンでもキングカメハメハ系という一大勢力の祖として名を残しているのはご承知の通りです。歴史を紐解いても、女王の座に君臨してきたのは歴史的名牝ばかりで、彼女たちを異国の最高栄誉に預からせたのはいずれ劣らぬ名伯楽ばかりでした。

ラヴズオンリーユーが偉大な先輩と肩と並べ、矢作芳人調教師が名伯楽の列に加わり、川田将雅騎手が歴史に足跡を刻んだのが誇らしく感じられてなりません。先ごろ、思い出深い東京競馬場で引退式を行ったばかりなのは、もう少し勇姿を見ていたかった思いも強いのですが、今年はエピファネイアを有力候補に子づくりの大事なお仕事に励みます。大先輩のミエスクのような繁殖牝馬としても名を残してほしいと願うばかりです。

×