きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

寅年に虎視眈々

ようこそいらっしゃいませ。

新年おめでとうございます。毎週金曜日は、遠征馬を中心とした海外競馬のアレコレをお伝えしてまいります。本年もよろしくお願いいたします。

コロナ禍の影響で、この1〜2年は海外遠征も停滞気味だったのですが、昨秋のアメリカ・ブリーダーズカップデーでのマルシュロレーヌ&ラヴズオンリーユー両牝馬のアッと驚くダブル金メダルの快挙、そして暮れの香港国際競走デーでも口切りの香港ヴァーズをグローリーヴェイズが強豪揃いのヨーロッパ勢を下してまず1勝。オオトリの香港カップでは、アメリカから直接香港入りした“渡り鳥”ラヴズオンリーユーが女帝らしい堂々のレースっぷりで快勝しました。少なくなっていた出走機会を確実にモノにして行く馬も立派ですが、目標にきっちり仕上げる陣営の素晴らしい進化を重ねています。時節柄、厩舎スタッフやジョッキーの遠征には隔離期間がつきものですが、そうしたハンデを背負っての戦いぶりに敬意と尊敬しかありません。

年が明けて、2月下旬に予定されている総賞金2000万ドル≒22億円とダントツの世界一を誇るサウジカップが世界各国で多くのホースマンを刺激しているようです。イギリスでは昨年の覇者ミシュリフが連覇を目指して凱旋門賞をスキップ、ここ一本にマトを絞って順調に「良い冬を過ごしている」ようです。アメリカでは“今年のヒーロー”と期待を集めているライフイズグッドが虎視眈々と主役の座に照準を定めています。

日本勢も暮れのチャンピオンズC圧勝で優先出走権を手中に収めているテーオーケインズ、昨年のドバイワールドC2着で世界に名を売ったチュウワウィザードが出走意欲を燃やしているようです。さらに前述のBCディスタフのミラクルな勝利で世界をビックリ仰天させたマルシュロレーヌが、引退レースの花道としてサウジカップの舞台を選ぶようです。牝馬は競走馬として名を残すだけではなく、繁殖馬としての仕事がそれ以上に大事に考えられています。そのため一口クラブの多くは、5歳いっぱいをめどに翌年の種付けに間に合うように引退させる規定が一般化しています。大偉業を成し遂げたマルシュとて例外ではないのは残念ですが、無事に牧場に帰って、良い仔をたくさん競馬場に送り込んでほしいものです。ここへ来てオミクロン株の急速な蔓延など状況は不透明ですが、人馬とも無事にレーシングカレンダーを実現して行きたいですね。

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