きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

パーフェクト制覇

12月10日は、高橋 康之 調教師の誕生日です。誕生日おめでとうございます!
ようこそいらっしゃいませ。

今週は香港国際競走4レースが日曜にシャティン競馬場で開催されます。日本はファンの夢を盛り込んだ大一番・有馬記念などを残していますが、国際規模でのビッグイベントは今年これが最後です。日本からも4レースすべてに合計12頭が出走します。アメリカでBCターフを鮮やかに差し切って世界の頂点レースの最重要の一つを制したラヴズオンリーユーを旗頭に有力馬が揃いました。レース順に香港ヴァーズ2400m、香港スプリント1200m、香港マイル1600m、香港カップ2000mと基幹4カテゴリーすべてに先頭でゴールするパーフェクト制覇すら期待される陣容です。

日本調教馬は一昨年、ヴァーズをグローリーヴェイズが勝ち、マイルをアドマイヤマーズが、最高賞金レースであるカップを“香港マイスター”ウインブライトが快勝して“準パーフェクト”の快挙を成し遂げていますが、実はこれは2度目の金字塔になります。遡ること20年、2001年に行われた今世紀最初の香港国際競走は今も思い出深いレースです。ここがラストランとなるヴァーズのステイゴールドが、直線で宙を翔ぶような豪脚を爆発させて生涯初で最後となるG1を戴冠したかと思えば、若き福永祐一騎手とエイシンプレストンがマイルのゴールを風にように駆け抜け、カップでは先日亡くなった名馬アグネスデジタルの鞍上で四位洋文騎手の笑顔が弾けました。芝・ダートを問わず、中央・地方・海外と場所を選ばず、それらのすべてでG1を勝ち切った名馬中の名馬でした。ご冥福をお祈りします。

今年、ヴァーズ出走のステイフーリッシュは父子制覇の勲章がかかっています。2400mに強いG1馬パイルドライヴァーや昨年の覇者モーグルなどヨーロッパ勢は手強いですが“パーフェクト”への第1関門を突破してほしいものです。スプリントには、昨年はロードカナロアとの父子制覇を果たし今年は連覇を狙うダノンスマッシュ、若き王者ピクシーナイトなど豪華絢爛なメンバーで挑みます。マイルが超難関ですね。15連勝中の“香港の英雄”ゴールデンシックスティの強さは本物です。前哨戦では他馬を先に行かせてドンジリを悠々と追走。軽く仕掛けられた直線だけで全馬を差し切りました。“日の丸四銃士”も福永騎手のインディチャンプなど実力馬揃い、最高の名勝負が見られそうです。女王ラヴズオンリーユーが有終の美を飾りたいカップですが、愛2000ギニーを勝ち切るスピードを備え、2000mのG1英チャンピオンSでも古馬に混じって3着する底力を秘めるマックスウィニーなどヨーロッパ勢がここも強力です。でも世界を渡り歩いた女王の勝負強さは伊達じゃありません。“パーフェクト制覇”の日の丸を掲げてくれるでしょう。

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