きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

歌人“京雅”さんからの和歌(沓冠) 安田記念

6月10日は、原優介 騎手、音無秀孝 調教師の誕生日です。誕生日おめでとうございます!
先週は東京競馬5週連続GⅠ競走の締めくくりとなる安田記念が行われました。先日のヴィクトリアマイルを制して中2週で出走したグランアレグリアに注目が集まりましたが、優勝したのは悲願のGⅠタイトル獲得、となったダノンキングリー。覆面歌人の京雅さんからも和歌が届きましたので、是非、隠れたメッセージを読み解いてください。(メッセージの答えは最後に)

安田記念 京雅

耐えた意地
いよいよスター
牡馬来るわ
馬は万全
伸びて差したよ

隠れたメッセージは「たいぼうの じーわんよ → 待望の ジーワンよ」です。
耐()えた意地(
い()よいよスター(
牡()馬来るわ(
馬()は万全(
伸()びて差したよ(


<京雅さんの和歌【沓冠】の解説>
短距離女王のグランアレグリアが3,4コーナー付近で若干手応えが鈍る様子が映し出され、東京競馬場の来場者そしてテレビの前のファンも「この手応えで届くのか!?」と不安に感じる中、グランアレグリアの約1馬身前で折り合い、直線でスムーズに外に進路を確保したのが、今年の安田記念を制したダノンキングリーでした。
これまで重賞は3勝していましたが、GⅠでは2019年の日本ダービー2着を含め、2着1回、3着2回、5着1回、とあと一歩に涙を吞んでいたところに、前走(天皇賞秋)の原因不明の惨敗。まさに、”耐えた意地”、積年の思いを胸にいよいよスター・ダノンキングリーが大舞台で躍動した瞬間でした。
上記したように、1番人気の牝馬グランアレグリアが苦しむ中、牡馬のダノンキングリーが外から来て、待望のGⅠタイトルに向けて全力で四肢を伸ばして差し切りました。この馬自身、「自分ならGⅠを取れる!」と抱いていたでしょう。そしてオーナーや厩舎関係者も「この馬ならGⅠを取れる!」と抱いていたでしょう。人馬のタイトルへの執念が結集した勝利。まさに隠れたメッセージ「待望の GⅠよ」ですね。

このレース2着はグランアレグリア。道中の行きっぷり、直線での狭くなる進路を考えると、やはり力のある馬であることを証明した2着ともいえるでしょう。そして、3着のシュネルマイスターも3歳馬ながら果敢に古馬に挑戦しました。2011年にリアルインパクトが成し遂げた3歳での安田記念Vとはなりませんでしたが、秋に期待が持てる内容であったのは間違いないでしょう。


※ 【沓冠】の解説
和歌の折句の一種。意味のある10文字の語句を、各句の初め(冠)と終わり(沓)に1字ずつ詠み込んだもの。「沓」とは、体の一番下に着けるもので、「冠」とは、一番上に着けるものであることから、「沓冠」といわれる。 平安貴族の「言葉遊び」で、短歌の中に、本文とは違う言葉を忍び込ませて、和歌の表面とは違ったメッセージを密かに伝えているところが、面白いところ。

※歌人“京雅”さん
長く競馬サークルに住みついている覆面歌人。昨年から、当協会ホームページで連載開始。渾身の一首をお届けするので皆さんも、是非、謎解きに挑戦してください。

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