きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

クァイエット・アスコット

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エリザベス女王の生涯のパートナーであったフィリップ殿下が99歳で亡くなれ、その翌日にコロナ禍を乗り越えて2年ぶりに開催された障害の最高峰グランドナショナルが行われるエイントリー競馬場では、哀悼の半旗が掲げられ、関係者すべてが黙祷を捧げ、騎手は弔意を示す黒の腕章を巻いてレースに臨みました。ご冥福をお祈りします。

100年少し前にエドワード7世が崩御されたとき、国民すべてが喪に服し、折からのロイヤルアスコットは黒のドレスコードが敷かれたことから「ブラックアスコット」と呼ばれたそうです。皇太子時代に自らの称号を冠したロイヤルアスコット最大の呼び物の一つ「プリンスオブウェールズS」が創設され、愛馬パーシモンがダービーを勝つなど大活躍、全弟ダイヤモンドジュビリーは王族として史上唯一の三冠馬オーナーの栄誉をもたらします。王位に就いた後も競馬への情熱は衰えず、プリンスオブウェールズSとともに、王の遺徳を偲ぶキングエドワード7世Sがロイヤルアスコットの看板レースとなっています。

今年のロイヤルアスコットは、フィリップ殿下を偲ぶ「クァイエット(しめやかな)アスコット」になりそうですが、最終日には女王の愛馬も出走に向けて準備を整えているようで、いつまでも胸の奥に刻まれる思い出深い開催になりそうです。エリザベス女王の所有馬タクティカルは、初勝利がロイヤルアスコットの名物リステッドレース・ウィンザーキャッスルSとこの王立競馬の申し子のようなサラブレッドです。開催最終日に組まれているG3ジャージーSを走るようですが、エドワード7世国王のように国民を喜ばせ勇気づけるような走りをしてくれるでしょうね。

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