きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

ラン・フォー・ザ・ローゼス

5月3日は、高橋義忠 調教師の誕生日です。誕生日おめでとうございます!
ようこそいらっしゃいませ。

ケンタッキーダービーの勝者には薔薇のレイが贈られる伝統があります。これを目指して世界の一流ホースマンが「ラン・フォー・ザ・ローゼス」(薔薇に向かって走れ)を合言葉に情熱のすべてを注ぎ込みます。ケンタッキーダービーが「あらゆるスポーツでもっとも偉大な2分間」と尊敬され憧憬される理由です。それだけにアメリカの全ホースマンが目標とするレースであり、出走に至るサバイバルも過酷を極めます。今年は有力馬たちが順調に勝ち抜いて、晴れて選ばれた20枠にゲートインできるかと思ったら、直前になって前売りオッズで1番人気に支持されていたオマハビーチがリタイア、残念な結果になりました。未勝利から3連勝で勝ち進んできた上がり馬で、レベルS、アーカンソーダービーを制覇してダービーに臨むのは三冠馬アメリカンファラオとまったく同じです。

しかしファラオがタップリ半年近い休養後に始動したのに対して、ビーチはダービーが年明け5戦目とタフなローテーションになりました。不運だったのは2歳王者ゲームウィナーを破ったレベルSが出走馬多数で分割レースになったことです。得られるポイントも減らされ、ダービー出走権を確保するにはアーカンソーダービーを使わざるを得ませんでした。名匠リチャード・マンデラ調教師も本来は直行でチャーチルダウンズに乗り込みたかったのでしょうが、こうした疲労の蓄積が出走取消の背後に潜んでいたのかもしれません。やはりケンタッキーダービーは厳しくも残酷なサバイバルレースです。本命馬のリタイアを受けて、ダービー5勝、うち三冠馬2頭を輩出したボブ・バファート調教師が手がけるゲームウィナー、インプロバブル、ロードスターの3頭が1-2-3人気に押し出されました。前者2頭はオマハビーチに負けており、新鮮味という点では喉の病気を克服して前哨戦サンタアニタダービーを勝ち上がって来た新星ロードスターでしょうか。気になるのは外目の16番枠からの発走になることだけです。

日本関連では「ジャパン・ロード・トゥ・ザ・ケンタッキーダービー」から初めての挑戦となるマスターフェンサーは今のところ最低人気ですが、世界のケンタッキーダービーのレベルを身をもって示してくれたらと思います。このゲートに入るのが、どれほど大変なことか熟視してきただけに、誇りを持って走って来てくれたら嬉しいですね。他ではウィンウィンウィンという馬にも注目したいと思っています。日本で走っていたハットトリックの血筋です。祖父サンデーサイレンスが薔薇のレイを戴冠した思い出のコースでラン・フォー・ザ・ローゼス!アメリカに生まれ育ち鍛えられ、日本で磨き上げられた血脈が故郷に錦を飾れるようだとドラマなのですが。

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