きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

疾風怒濤ライアン・ムーア

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英1000ギニーで幕を開けたヨーロッパクラシック戦線ですが、その初戦でエイダン・オブライエン厩舎のガリレオ産駒がワン・トゥー・スリーを決め、ファンの度肝を抜きました。楽勝したマインディングの鞍上にいたのは、オブライエン厩舎不動のエースジョッキーであるライアン・ムーア騎手だったのはもちろんです。ムーアの勢いはドーヴァー海峡を渡っても衰えず、ロンシャン改修で今年はドーヴィルで行われた先週末の仏2000ギニーでは、これもオブライエン厩舎でガリレオ産駒の新星ザグルカに騎乗して5馬身半も千切る快勝劇を演じ、ダービーの有力候補に急浮上しました。

返す刀で翌日にはドイツのケルンに移動し独2000ギニーに挑み、ナイフエッジというイギリス調教馬を操って勝利を収めました。疾風怒濤の勢いと言うしかありません。ムーア騎手は、同一年に英仏独3カ国のギニーレースを制したことになります。ナイフエッジはG1レースで怪物フランケルにもっともたくさんの汗をかかせたゾファニーの初年度産駒です。ロイヤルアスコット・セントジェームズパレスSのゴール前で4分の3馬身差までに迫り、フランケル危し!とスタンドを騒然とさせたのが昨日のようです。ゾファニーは昨年の新種牡馬チャンピオンに輝き、期待を上回る活躍を見せています。1年遅れで初年度産駒をターフに送り込んだフランケルは、先日初出走の仔が初勝利を飾り快調なスタートを切っています。ライバル同士の戦いは、これからも長く続いていくんでしょうね。

さてムーア騎手、今週は本拠地アイルランドのカラー競馬場で愛1000ギニー&2000ギニーに騎乗します。マインディングは英オークス直行の模様で、今回は英1000ギニー2着だったバリードイルの手綱を執ることになりそうです。2歳時にはマインディングに勝ったこともある素質馬で、宿敵不在ならということで1倍台の圧倒的な人気を集めています。牡馬の2000ギニーは、ニューマーケットの英2000ギニーで一本被りの人気ながら、不可解にもブービーに惨敗した2歳チャンピオンのエアフォースブルーがリベンジを誓う場になります。今度はG1を2勝しているホームコースですから、馬もムーア騎手も言い訳の利かない正念場です。オッズは3倍前後で、英2000ギニー馬ガリレオゴールドを追う立場になりましたが、こういうときのムーアは頭脳的で戦略的な騎乗が冴え渡ります。新チャンピオンのタイトル防衛か、旧チャンピオン復活でムーア騎手の4カ国制覇なるか、手に汗握る一戦になりそうです。

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