きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

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きのうのエリザベス女王杯、ライアン・ムーア騎手のスノーフェアリーが圧勝しました。ファンを驚かせたのは、直線に向いて有力馬が芝のいい外めに進路をとったのに対して、スノーフェアリー1頭が内に突っ込んだことです。そこから力強く伸びてゴールでは4馬身差、完勝でした。

ライアン・ムーア騎手を世界的に有名にしたレースがあります。2007年のエクリプスSがそれです。

人気は1ヵ月前にダービーを5馬身差で勝ったオーソライズド、鞍上はエース・デットーリ騎手で必勝の構えです。“クールモアの至宝”ジョージワシントンは2000ギニー、クイーンエリザベス2世SとマイルG1を勝ちまくったスピード馬、どう見てもムーア騎手のノットナウケイトに勝ち目があるとは思えません。

レースは予想どおり強豪2頭のガチンコ対決と思われた4コーナー、ムーア騎手は1頭だけ外ラチ沿いに愛馬を誘います。叩き合う強豪2頭とはまったく別のレースをしているように、気持ち良さげにスイスイとゴールをめざします。2頭が馬体を接してゴールに飛び込んだとき、ノットナウケイトは1馬身半も先に出ていました。

まさに奇襲戦法、オーソライズドの名手デットーリ騎手もジョージワシントンの名匠オブライエン調教師も桶狭間の今川義元のように驚愕するしかなかったでしょう。ちなみにノットナウケイトを勝利に導いたムーア騎手とサー・マイケル・スタウト調教師はことしのダービー馬にして凱旋門賞馬ワークフォースと同じコンビですね。

面白いものを見せてもらった、そんなエリザベス女王杯でした。

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