きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

歌人“京雅”さんからの和歌(沓冠)  オールカマー

9月29日は、笹田 和秀 調教師、野中 賢二 調教師の誕生日です。誕生日おめでとうございます!
先週は中山競馬場でオールカマー(GII)が、中京競馬場で神戸新聞杯(GII)が行われました。それぞれが天皇賞(秋)、菊花賞とGIに直結する重要なレース。覆面歌人の京雅さんからは、オールカマーの和歌が届きました。和歌(沓冠)に隠れたメッセージを読み解き、お楽しみください。

オールカマー 京雅

いざ競ふ
ダッシュだターボ
一気行こ
なんと坂越え
ルート抜けたよ

隠れたメッセージは「いだいなる ふぼこえよ → 偉大なる 父母超えよ」です。
い()ざ競ふ(
ダ()ッシュだターボ(
一()気行こ(
な()んと坂越え(
ル()ート抜けたよ(


<京雅さんの和歌【沓冠】の解説>
1着には天皇賞(秋)への優先出走権が付与されるオールカマー。ここをステップに名馬へと羽ばたいた数々の馬たちに続けと13頭が競いました。
レースは長期休養明けの実力馬バビットが逃げ粘るところに、インコースでジッと脚を溜めていたジェラルディーナが中山競馬場、最後の急坂を前にインコースにルートを見出し、ターボ全開。一気の脚で坂を駆け上がると、最後は後方から迫るロバートソンキーの追撃も抑え込み見事な重賞初制覇を飾りました。

ジェラルディーナと言えば、やはりその血統面が注目されてきた競走馬。父モーリスは4歳に一気に頭角を現し、5歳で引退するまで香港の国際GI3勝を含むGI6勝と活躍したマイル~中距離の名馬。そして、母ジェンティルドンナは3歳時に牝馬クラシック3冠を成し遂げると、勢いそのままにジャパンカップ(GI)で当時の最強馬として君臨していたオルフェーヴルを倒し、3歳にしてジャパンカップを制覇。古馬となってからもジャパンカップ連覇、ドバイシーマクラシック(GI)で優勝し、引退レースとなった有馬記念(GI)で有終の美を飾った名牝です。
父母あわせて13冠馬の仔としての重圧からか、ジェラルディーナは重賞で奮闘するもあと一歩届かぬ競馬が続いていましたが、4歳で覚醒した父と同じ年齢で悲願の重賞初制覇をオールカマーで達成しました。
「偉大なる 父母超えよ」、ジェラルディーナの挑戦はまだまだ続きます。


※ 【沓冠】の解説
和歌の折句の一種。意味のある10文字の語句を、各句の初め(冠)と終わり(沓)に1字ずつ詠み込んだもの。「沓」とは、体の一番下に着けるもので、「冠」とは、一番上に着けるものであることから、「沓冠」といわれる。 平安貴族の「言葉遊び」で、短歌の中に、本文とは違う言葉を忍び込ませて、和歌の表面とは違ったメッセージを密かに伝えているところが、面白いところ。

※歌人“京雅”さん
長く競馬サークルに住みついている覆面歌人。一昨年から、当協会ホームページで連載開始。渾身の一首をお届けするので皆さんも、是非、謎解きに挑戦してください。

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