きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

小さな英雄

2月14日は、勢司 和浩 調教師の誕生日です。誕生日おめでとうございます!
ようこそいらっしゃいませ。

いまヨーロッパでは、障害シーズンが真っ盛りです。今年はタイガーロールという馬が、前人未到のグランドナショナル3連覇に挑戦するということで、盛り上がり方も例年にも増してヒートアップしています。ご存じのようにグランドナショナルは、エイントリー競馬場の約6900mを走り難度の高いハードルを30個も飛んでゴールにたどり着く過酷なレースとして知られます。経験の豊かさとフィジカルの頑健さが重視されて出走資格は7歳以上、フルゲートは40頭ですが、完走馬は毎年10頭前後と想像を絶する厳しさです。

日本からは、この前の東京オリンピック前後に中山大障害を4連覇(当時は春秋に年2回開催)した名ハードラー・フジノオーが、1966年のグランドナショナルに挑戦していますが、日本とは違って高々と聳え立つハードル群に戸惑い飛越拒否でレースを中止しています。それでも彼はヨーロッパを転戦しながら、徐々にレースにも慣れてフランスで2勝を上げています。偉い馬です。

さてタイガーロールは「小柄な馬体だが、それ以外のすべてにおいて偉大」と人々から愛される国民的英雄です。ハンデ戦なのでG1要件を満たさずG3格付けなのですが、かつては有馬記念を凌ぐ世界一の馬券売上を誇った大人気レースです。イギリスやアイルランドのファンが熱を上げるのも分かります。小柄なこの馬は、初制覇が69.4キロ、連覇の昨年が72.1キロ、史上初3連覇の大記録がかかる今年は74.4キロと馬にも騎手にも考えられない負担を強いる酷量と国民の大きな期待を背負います。障害シーズンと平地シーズンの分水嶺でもあるグランドナショナルは4月4日に行われます。

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