きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

北斗星と南十字星の悪戯

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この前の日曜、南米チリでは最大の呼び物であるエルダービーが行われました。勝ったリオアリペンという馬は日本の活躍馬シーキングザダイヤの産駒です。2、3着に従えたのが南米のチャンピオン種牡馬スキャットダディの産駒たちで王者の血筋を破っての優勝は価値があります。チリでのG1勝利は3頭目になります。G1戦線で上位に食い込む馬も多数いて、その存在感はますます確かなものになっているようです。G1勝利の女神に見放されていたシーキングザダイヤがG1サイヤーとして君臨するのに感慨深いものがあります。

シーキングザダイヤは、ブルーのダイヤモンド柄をあしらった勝負服がオシャレな当協会会員・青山洋一さんの愛馬、3歳時にはニュージーランドTやアーリントンCなど芝の名マイラーとして鳴らしました。ダート路線に転向して、G1は遂に未勝利に終わりましたが、2着9回と後輩のフリオーソに破られるまで日本記録を持っていた悲運の強豪でした。カネヒキリのハナ差とかタイムパラドックスやアジュディミツオーのクビ差とか歴史に残る名馬たちを相手に惜しい一番も何度かありました。北半球の天頂に輝く北斗星はどうやら彼に味方してくれなかったようです。

しかし引退後は1年だけ日本で供用された後、父が大種牡馬ストームキャット、母が日本調教馬で初めてヨーロッパG1を勝ったシーキングザパールという良血を買われて生まれ故郷のアメリカに渡り、やがてチリにもシャトルで出かけるようになります。彼にはつれなかった北斗星とは逆に南十字星が幸運のシンボルのように輝いたのは冒頭にご紹介した通りです。エルダービーで下したスキャットダディは世界的に注目される大種牡馬ですが、先日不幸にも若くして亡くなりました。シーキングザダイヤの株が急騰するのは間違いないでしょう。血統的にディープインパクトとのニックスは魅力的で、そのうち彼の牝馬たちが繁殖として輸入されるのも楽しみです。

元愛馬の頑張りに励まされたのか、青いダイヤモンド柄の勝負服が今年も元気です。名スプリンターとして名を馳せたワンカラットの子供ワントゥワンや妹のジュエラーが桜戦線を賑わせています。ワンカラットはトライアルのフィリーズレビューで鮮やかな末脚を見せてくれましたが、娘のワントゥワンも同じ舞台に立つことになるのでしょうか。この仔たちに北斗星の加護があると良いですね。

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