きょうの蹄音 競馬にまつわるちょっといい話

奇跡の血

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シーズン末になると、もう来年の話をしても鬼は笑わないでしょうということで、来春の種牡馬種付料が発表され始めています。最大手スタリオンの社台SSでは、ディープインパクト3000万円、キングカメハメハ1000万円と景気の良い話が飛び交っています。産駒たちは市場で高値で取引され、競馬場でも素晴らしい結果を残しているのですから当然と言えば当然のような気もします。
ヨーロッパ市場ではプライベート設定で実勢5000万円とも6000万円とも噂されるガリレオの存在は別格としてもドバウィの躍進が著しいですね。シーズン初頭の世界最高賞金ドバイワールドCを産駒のプリンスヴィショップが勝ってリーディングトップに踊り出し、シーズン終了間際までガリレオを脅かし続けました。まだ日本と香港の国際G1を残しており、イラプトがジャパンCで健闘、今週のチャンピオンズCにもガンピットが出走します。結果はともかく、その存在感たるや立派なものです。

2000年のドバイワールドCを勝つために生まれてきて、付けられた馬名もドバイミレニアム、この稀代の名馬はオーナーのモハメド殿下の期待を叶えてワールドCをレコード勝ち、たった1年で早逝しましたが、奇跡的に1頭の名馬を残すことができました。ドバウィです。ダーレーの優秀な牝馬の功績もあってマクフィなどミレニアムの孫世代も種牡馬として活躍しています。今年は怪物フランケルと並ぶ12万5000ポンド≒2300万円余りの種付料でしたが、来年は倍増近い22万5000ポンド≒4100万円余りに急騰します。クラシックにやたらと強いガリレオに伍してここまで評価を高めてきたのは父ミレニアムの奇跡の血の為せる業でしょうか。

インヴィンシブルスピリットも10万から12万ユーロ≒1300万円余りと勢力を拡大しています。昨年は年度代表馬に輝いた名マイラー・キングマンを輩出しましたが、全体にスプリント戦と2歳戦に強みを発揮する種牡馬です。半弟のコディアクも2年連続で2歳リーディングを獲得し、早熟血統のアドバンテージを生かしています。勝ち上がり率も素晴らしいのですが、3勝、4勝と稼ぎまくる産駒が多いのも際立った特徴です。欧米ではシーズン当初から2歳戦が盛んで日本と違って1年を通して行われます。2歳市場の規模そのものが桁違いで、2歳戦専用と思われる種牡馬への需要は想像以上に高いものがあるようです。そんな背景からかコディアクの種付料も2.5万ユーロから4.5万ユーロ≒600万円近くまで上がっています。今年産駒がデビューしたゾファニーという馬も3倍を超える上昇率で4.5万ユーロに値上がりしています。圧勝続きだったフランケルに日本のグランプリボスも出たセントジェームズパレスSでもっとも近づいた馬です。
さて、来年はいよいよフランケルの初年度産駒がターフに姿を現します。何頭か輸入されている日本も含めて盛り上がるのは必至でしょう。今からワクワクが止まりません。

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