発走時刻1分前。
調教師。騎手。馬券を買う人。
馬主、実況アナウンサー。
そして、スターター。
様々な人の思惑、
推理、強い念が交差する時間。
当コラムは、
発走時刻1分前にまつわるコラムです。

第34回JRA誘導業務担当者さま

JRA誘導業務担当者

各馬がゲートへと誘導され、さまざまな人の思いを乗せてゲートが開く。
みなさまはどんなことを思っているでしょうか?

競馬開催日、誘導馬に騎乗し誘導業務を行う我々は、発走時刻の約十五分前にパドックで停止命令をかけ、競走馬をコースへと誘導しています。
ちょうどコースへの入場が始まるのは発走時刻の約十分前。
みなさまは「ドキドキ」し始める頃でしょうか?
実は、我々も「ドキドキ」しています。

各出走馬の安全を確保して、スムーズにコースまで誘導を行う。
これができるように誘導馬は日々練習を重ねていますが、以前は競走馬としてコースを走っていた子が大半。
なので、慣れるまでは出走馬と共に走りたくなってしまう…なんてこともしばしばあります。
それでも、今は誘導馬としてのお仕事があるのでグッと我慢してもらうのですが、その際に暴れて出走馬に影響を与えないか「ドキドキ」しています。
みなさんの「ドキドキ」とは意味合いが違えど「ドキドキ」です。

無事に出走馬をコースに誘導してホッとしつつ、どの馬が勝つかなあ。なんて考えていたらあっという間に枠入れが始まり、発走時刻一分前。
何よりもこの時が一番全人馬の無事を祈り、「ドキドキ」する瞬間です。

どうしても事故は起きてしまうことがあります。
レースが始まってしまえば、みなさまと同じく我々はただ願うことしかできません。
それが起きないように強く願うのが我々の「発走時刻一分前。」です。

※この記事は 2024年5月24日 に公開されました。


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